2016年12月10日(土) |
木村榮治『遺品整理士という仕事』★★★☆☆ |
木村榮治『遺品整理士という仕事』
遺品整理に携わるプロが語る、現実。
よりよく生きることと、よりよく死ぬことはイコールだということを読みながら感じました。
すっきりさっぱりと、身軽に、旅立ちたい。
自分の大切な人たちにも、そうあってほしい。
心に残ったところ。
「遺品整理の基礎となるのは、『遺族は自分たちでやりたいのにできない状況にある。だから遺族の代わりに、イコール遺族のつもりになって遺品整理に臨まなければならない』という信念です。」(p59)
「ほとんどの遺族は、遺品整理士に依頼をするまで自分たちだけで整理しようと試みています。それに挫折して依頼するわけですから、遺品は大事な人が使っていたものという感覚がマヒし、自分の自由を奪う重荷であると感じ始めている方が多いのです。」(p65)
「遺品整理には二つの側面があります。ものの整理と心の整理です。」(p68) よってカウンセリングマインドが必要となる。
「亡くなることを前提として話すと、親は心を閉ざしてしまいますし、『後で私が大変になるから』と子どもが自分本位で動いては、衝突するのも当たり前。親の身になり、タイミングを計ってあげることが必要です。親と思いを共有しなければ難しいことなのです。」(p99)
親の家がごみ屋敷化する原因。 「多くは健康上の問題です。」(p99)
「そのような予兆があった場合は、増えたものに目を向けるより親の変化を読み取ることが先決です。」
生前整理を行うときの二つのポイント 「一つがお金の問題、もう一つは心の問題です。」(p101)
「エンディングノートを介して、気がつけばコミュ二ケーションが増えた。そんな姿が理想です。」(p114)
「自分の身がなくなったとしても、残ってほしいものは何か。 それを使って、見て楽しんでいる家族の姿が思い浮かぶか。」(p116)
「遺品整理士から見ると、孤立死をしてしまう人たちの部屋には、ある特徴があります。ありていに言えば、散らかっているということ。膨大で整理されていないものの山がいくつも生じていて、特殊清掃はもちろん、遺品整理についても手こずることが多いのです。」(p138)
さみしさを埋めるために、ものを買い、ためこむ人。 ものではさみしさは埋められない。 だから止まらない。
何かしら手立てと予防が必要だと心から思います。 片づけに携わるプロは、一読すべき。
木村榮治『遺品整理士という仕事』
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