2012年06月03日(日) |
小薗真知子『失語症 そして笑顔の明日へ』★★★★☆ |
小薗真知子『失語症 そして笑顔の明日へ/小薗真知子』
メモ。
現在失語症の患者の数は、30万人から50万人。
「どんなに雄弁な人も、分筆に秀でた人も、パソコンを使いこなす人も、ある日突然、言葉の自由を奪われる失語症。言葉の障害は目に見えないために、街で通り過ぎても誰が失語症かは分かりません。そのため自分や家族の身に起こって初めて失語症に出会うことになります。」(p2)
失語症は言葉を忘れてしまうのではなく、頭の中にある言葉を自由に引き出せなくなっている状態。
「失語症の人が最もつらいのは、これらの症状に対する周囲の人の無知、無理解です。」(p54)
思考も、感情も、人格も、失っていないのに、簡単な言葉が聞き取れない、表現できない、間違えるといったことからそう判断されてしまいがち。 とても恐ろしいことだと、知りました。
症状は、失語、失行、失認、注意障害、記憶障害、地誌的障害、半側空間無視、半側身体失認、遂行機能障害、行動と感情の障害など。
接する時には、 「言葉という記号の扱いに支障を持った普通の人」(p96)と向き合う姿勢が必要。
・短く、分かりやすく見ぶりを交えて話す。 ・1つのことが理解できてから次の話へ。 ・漢字や数字を書いて示しながら。 ・絵や写真、地図、カレンダーなどビジュアルを理容。 ・言葉が出ない時は、「はい」「いいえ」で答えられる質問を。
NGなのは、 ・五十音表を指差し ・無理強い、言い直し ・先取り ・耳元で大声 ・笑ったり叱ったり
失語症があっても、日常生活には問題がないこと。 「生活に関すること以外でも、絵、歌、書道、踊り、手芸、園芸、囲碁、将棋などのいわゆる右脳の働きが大きく関与しているものは、失語症の影響を受けにくいと言われています。」(p118)
「突然、言葉を失った。 言いたいことがうまく話せない。 周りの話がよく分からない。文字を読めない、書けない。 今までと変わらず、感情、意見、経験はそのままあるのに、それを伝えられない。」(p215)
自分も含めて、もっとたくさんの人が、失語症について知識と理解を深められたら!と思います。
小薗真知子『失語症 そして笑顔の明日へ/小薗真知子』
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