13階段
高野和明/講談社文庫。
死刑囚の冤罪を晴らすため、刑務官(いわゆる看守のことね)と前科者が証拠を探す。2001年江戸川乱歩賞受賞作。
死刑囚樹原・刑務官南郷・前科者三上のそれぞれの心情や世界観がよく描かれていて、よく取材してるなーと感心したり、うっかり感情移入しすぎて泣きそうになったり、「人が人を裁くことに意味はあるのか」とちょっと真剣に考えさせられてしまったり。
しかし人物の内面描写に比重が置かれててサスペンス部分は淡々としてたんで、スリラーやパズラーとしてはそんなに期待して読んではなかったんですが、終盤にはスリル・ショック・サスペンスのどとうの展開が!モギャー!マジっすかー!!!!!!
樹原に死刑を求刑した若い検事が、南郷と三上に協力する理由を訊かれて「正義が行われるのを見たいんです」と答えたり、樹原の友人でやたらリアクションの大きい(お仲間ですな)(苦笑)ビデオ店店長が、樹原が戻ってきたらどうするか訊かれたときには穏やかに「一緒にやり直す」と答えたりしたのには、少し救われる思いがした。 南郷と三上には救いがあったのかは、描かれないまま終わってしまったのがやるせねえ(まあある意味乱歩賞作品らしいか)けど、二人共、どうやれば自分を助けられるかが判らないから、かわりに樹原を助けようとしたんだろうな。
2005年03月05日(土)
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