テスト前だというのに風邪をひいて呻いていたら風邪の時は水分のある果物が一番、と言いながら友達が家まで桃を持ってきてくれた。奥までやわらかな果肉、表面のほのかなピンク色、それから少しざらざらした皮の感触。桃を触っていると誰かの顔に触れているような気分になる。頭を寄せ、触れるか触れないかというところまで近づけると頬の薄い産毛が触れ合い、そこからかすかなぬくもりが伝わってくる。とても優しい感情が湧き上がってきて、息が震える。