2005年11月01日(火) |
『無題』 七五調の詩 古文法無視 訳つき |
原文
あの空が、なにより欲しゐ、君が言ふ
わがまま幼(こ)ネコ、そう笑みながら
たおやかに、君が柔頬(やらほお)、胸に抱く
右の手まざと、空に展(ひら)ける
黒白の、明滅の先(さ)を、握り込む
空の収縮、ただ君眺む
君の胸、閉じたる右手、明(さや)と当つ
空浮かび行く、君がこころに
お前バカ、わらひし君の、揺る唇(くち)に
刹那の想い、重ねましかば
現代語訳
何よりも、あの空が欲しいと君が言った。 (わがままな子猫のようだな)と思い笑いながら 優しく君の横顔を胸に抱いた。
握り締めた右手を空につきたてて ゆっくりと手を開いた
白と黒が火花のように光ったり消えたりしている空
ゆっくりと手を閉じていくとともに空がぼくの手の中に縮んでいく
君はそれをだまってみていた
閉じた右手をそっと君の胸に当てて開いた
「あなたってばかね」
そういって子どものように笑っている君の 揺れている唇に
ぼくの今の想いを つたえてもいいかな?
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