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その時"事件"は起きた〜400年の宝石展の記憶〜




これが問題の腕輪

ワタクシのものではありません。



 昨日のこと。
 午前中、ひんやりした床の上で涼んでいたら
 ご近所に住むK子ちゃんから

 「博物館でやってる宝石展見に行かない?」

 ってお誘いの電話。

 午後から K子ちゃん、Y江ちゃん、Aちゃん
 とっても見目麗しい"令夫人"なお友だちと4人で

 『ヨーロッパ・ジュエリーの400年―ルネサンスからアール・デコまで―』

 を見に行きました。

 博物館の中は、世界中の宝石を集めたんじゃないかと思うぐらい!
 見たこともない大粒のダイヤやルビーやエメラルドやサファイアを
 ふんだんにあしらって緻密に細工された装飾品の一つ一つ
 歴史的にとても価値あるものばかり。
 
 バロック・ロココ・ルネッサンス・・・
 ルイ15世・ビクトリア女王・ナポレオン
 かつての王国ゆかりのティアラや首飾りは
 こんなにたくさん"石"をくっつけて
 肩凝ったろうなって心配になるぐらい

 そんな中で 上の写真の腕輪。

 Aちゃんは、この催しの中で、この腕輪を見るのを
 一番楽しみにしていたんだって。

 写真では伝わりにくいけど
 自分の手を写真の上にかざしてみて。
 どれだけの量のゴールドが使われているか想像つくでしょう?
 目はルビーで、頭はたぶんオパールかな?
 腕輪の先から鎖でつながった小さな蛇は、指輪になっているの。
 アルフォンス・ミュシャのデザイン。

 さて、女性客でいっぱいの博物館の中
 私達と同じぐらいのペースで、鑑賞している
 初老の紳士がいらっしゃいました。
 
 とても、熱心に見てらしたので
 「美術関係か、宝石関係か、アンティーク趣味の方かもね」
 って、想像してました。

 問題の腕輪のところにさしかかりました。
 初老の紳士も、私達から、少し遅れていらっしゃいました。

 念願の腕輪の前で、いろんな角度から腕輪を見ていたAちゃん

 「この腕輪って、どうやって腕につけるのかしら?
  留め具がないでしょう。どこも開かないわよ」(落ち着いた声で淡々と)

 すると、Y江ちゃん

 「この腕輪はね、このままスルっと入る人がするものなの。
  アナタには無理だわね」(これまた落ち着いた声で淡々と)

 Aちゃん

 「はいはい。わかりました。私には無理ですっ。」

 Y江ちゃん

 「良かったわぁ。あなたが分かってくれて」


 そしたら、横にいた初老の紳士が

 「ぷっ!」って吹きだしたの。

 小さな笑いだったけど
 確かに吹きだしたの。
 そして、腕輪をまだ観ていないのに
 そそくさと私たちのところを離れたの。

 AちゃんとY江ちゃんは
 いつも淡々とした口調で、そういう喋り方で
 そんな会話もいつものことだし
 別段おかしくないんだけれど

 私は、その紳士が吹きだしたのがおかしくて

 「今の聞いた?『ぷっ!』って吹きだしたわよ。
  しかも、見た?逃げるようにあっちに行っちゃった」

 笑うのをガマンしながらそう言って
 K子ちゃんを振り返ったの。
 見るとK子ちゃんは、もう涙目になってるの。
 
 その紳士のとった行動が、彼女の笑いのツボにハマったみたいで
 博物館の中だから、声を出して笑えないK子ちゃん
 一生懸命ハンカチを口に当てて、笑いを押し殺していたんだけど
 笑いをこらえているうちに、お腹まで痛くなったらしくって
 床の隅に座りこんじゃった。
 でも、最後まで、声は立てずに・・・偉い!K子ちゃん。

 あの、紳士は、私達がそこを立ち去った後
 もう一度、あの腕輪を見たのかしら?

 彼の記憶には、ミュシャの腕輪と共に私達が残るのかな・・・
 気の毒だな・・
2003年08月08日(金)
 


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