しあわせです、
と言ってみる。
胸の奥深くまで染み込んでゆくその言葉の重さに、
僕はたったひとりで泣きそうになる
メールを送ってくれるひとともう毎日、やり取りを始めてからもうおそらく4ヵ月は過ぎた。 最初は1週間に1度だったメールが、いつの間にか2日に1度になり1日1度になり、1日に複数、になるのは僕が事態を受け容れるより早く。
うん、
わかっているよ
ことばが儚いものだってことくらい 想いが褪せるものだってことくらい よく わかっている。
だから僕は、
しあわせだ
ということばの重さを心臓と脊髄のあいだ、こころと心臓のあいだに染み込ませて
何かとても とても 稀少な 標本を 作ろうとしている
知るということは残酷で 僕の瞳はそのために少しずつ透明になる
いとしい、いとしいと言えばそれだけ こころまで透明になりそうなのが怖いといえば怖い
K、
あれから僕は縫い綴じたはずの屍肉の糸をひらき
あなたに恥知らずと嗤われてもいいように欲しいものを手に入れたよ
K、
だからもしいつか会える日が来たら あなたに尽くせない詫びを言い募るのではなくて
あなたをあの日のように抱きしめてもいいかなぁ?
それは 墜落していく空の青さ、みたいな
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