グランドの 中央に 蛍光色のパーカーを着て 倒れている人影 それが 僕 でした
一時あんなに晴れていた空がまた少しかげってきて、 閉会式の頃はそれでもまだ熱気の名残りのように夕焼けのほむらが見えていたものが もうどこか夕暮れて灰色に暗くなりつつある。 片付けをする人影も減って 大方は打ち上げと称してどこかの喫茶店やお好み焼屋やらに流れて行ってしまった たぶん、 君も。 オツカレ、と言い合って ああこれで終わり ずいぶん荒れた芝生の上に倒れてみればまだ少し砂ぼこりの匂いがした。
ここにいるよ、 とわかるように持ってきた蛍光黄色のパーカーはなかなか優秀で、 今日いちにち防風防水、日差しと淋しさから僕を守った。
あぁ、広い 広い空。
ここにこう寝ていれば誰かが迎えに来てくれそうで、 蛍光黄色のパーカーはたぶん ほったらかしで帰るには目立ちすぎるから、 もう少しだけ、 と思ってふっと目を閉じる。 空はお世辞にも綺麗な色とは言えず もう辺りも暗くなる。
何処へでも行けるさ、ここから。 このこころひとつ、あれば。
|