昨夜の混乱から少し醒めて、 やはり僕は若干ふてぶてしいくらいがいいのだと自分自身で納得する。 いやだいやだと思うことを続けても全く意味はないし、 たぶん、嫌っていたものをいつか好きになるなんてことはない。たぶん。 そのあたりの嗅覚は自分を信頼するしかないけど。 だけど9割方その嗅覚が間違っていたことはないし、間違っていたことを後悔したことはない。 だからそれで、いいと思おう。
なんだか子供のようにだらしない話。
もう誰かを想うなんてこと無いかもしれない。 もうこの心は満足に働かないんだろう。
ここは井戸の底、 見上げれば月のように明るい世界。 そこにあのひとが映る日を待っている。 いつもいつまでも、 たぶん幻とも本物とももう判別できない。 ただその日その時はどんなに幸せだろうかと考える。
もうどこへも行けないのはわかっていて、 ここからどこへ行けばいいのかもわからない。 あのひとは僕のいのち、 そう言い切れるのは僕の声がもうあのひとに届かないからで、 呟く声はただ井戸の壁に反響して耳に痛い。
ここは井戸の底、 足元に黒い水、いつかあのひとの影を映した鏡。
君の名を、 もう呼べるはずのないその名前を、 いつも夢見にも呼んでいないかと不安になります。 とてもとても、遠いひと。
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