こころの大地に種をまこう 春名尚子の言霊日記

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2000年11月28日(火) ここから動かないで!


 最近夕焼けを見ることがない。

 そもそも、基本的に夜7時まで仕事なので、最近は職場を出るともうあたりは真っ暗になってる・・・。

 上の写真は、2年前にアメリカ大陸を横断したときのもの。地平線に沈む太陽はあたりをオレンジに染めていた。

 何時間車で走っても変わらない、延々と続く砂漠、草原、畑、森。

 ネイティブ・アメリカンが亀の島と呼ぶあの大陸は、じつにさまざまな顔を見せてくれた。

 濃紺の森の中に満月がぽっかり浮かぶ夜、メディスンマンがスウェットロッジ(ネイティブ・アメリカンの浄化のセレモニー)を執り行ってくれた。

 スウェットは、インディアンの間で最も古くから行われている儀式であり、他の儀式を行う前にも必ず浄化として行われるが、このひとつだけでも大変に意味のある儀式だという。

 木を組み合わせて創った半球の小屋の真ん中に開けらた穴に、赤くなるほど熱した石をごろごろと入れる。

 参加者が小屋にはいると、入り口は閉められ、小屋は真っ暗闇になる。

 冷たく清浄な水を、メディスンマンが古代から伝わる順番で焼いた石にかけると、ジューという音とともに、すべてを浄化する蒸気がたち昇る。

 砂漠やあまり水のない地域に住む彼らにとっては、日本で行われる禊ぎにかわるセレモニーなのかもしれない。

 祈りの言葉と、インディアンドラム、そして歌が始まる。聞き覚えのあるそのメロディーを追いかけ、歌いはじめる。

 ロッジの中が熱くなっていくとともに、ドラムと歌も大きくそして真剣になっていく。


 息を吸うと熱く白い蒸気が体の中を駆けめぐり、再び息を吐くときには体の中の不浄なものと一緒に悪い考えも外に出してくれる。

 地球とひとつになることで、体中を浄化する事が出来るように感じる。

 ロッジの熱さと自分自身に負けることのないように、歌うエネルギーは加速し、歌は歌ではなく祈りとなる。

 となりにいる仲間の鼓動までも聴こえてきそうな静寂と、腹の底から出される地球の真ん中まで届くような歌、静と動が不思議に同居する空間。

 地球や宇宙や小さな生命たちともつながって、より大きなものにとけ出して、より小さなものに入り込んでいくような、そんなセレモニーだった。


  朝日も夕日も、美しい海も、雄大な山も見ることもなく、私は毎日なにをやっているんだ?。

  私にとって大切なことは、たいせつなものをたいせつにできる環境を創ることでもある。

  時間に追われて生きてたんじゃ、意味がないね。


  なんで、タイトルを「ここから動かないで」にしたんだか、よくわからないけど、

  「行かないで!」ってことじゃなくて、「今のここ」が重要ってことなのかな。


  多分「今の自分の心と向き合え」ってことなんだろう。


  日記なんだか、日記じゃないんだか?。

  まあ、こんな日もある。


  セレモニーに参加しなくとも、特別な体験をしなくとも、自分自身であり続けることはできる。

  心の声に耳を澄ましていることが大切なんだ。


  2000.11.28 9:50


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