超雑務係まんの日記
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2004年12月06日(月) 嘘と真実

話す事と言えば
昔話ばかり
きっと
出逢った頃が素敵だと思った

「事実は小説よりも奇なり」


悔しくて
死にたい夜もあって
産まれてきた事を
この上なく後悔してた時期もあった

当時はメールもネットも存在しない時代

軽い言葉遊びはココまで氾濫していなかった

だからなのか
君の言うように
孤独との戦いをネットやメールで逃げる事が出来ず
ずっと子供への退行を繰り返していたのかもしれない


ハッキリ言える事
メールやネット
文学とは程遠い世界


確かに
事実は小説よりも優れているかもしれない
未来を判断できる材料は、たくさん存在する

対して
作品は嘘だと揶揄されても
どんな反論もできやしない

冷静に考えてみれば
事実の積み重ねで
人生は充分送っていける
裕福に安全に問題なく
単なる事実の確認だけで人は
生活がうまくまわっていく


一方、文学は
真実と人間性を究極までに追求する学問
まやかしのような世の中に立ち向かった
ファイター達の歴史だ

当然
安心な安定した精神状況でいられるハズがない

文章という舞台を借りて
さまざまな事実でない「嘘」や「虚構」で
ギリギリの表現を精神を削って表現していく芸術

こんな学問は
こんな感覚は
こんな発想は
こんな行動は
こんな習慣は
こんな人生は

こんな僕は

一生、信じられませんか?


メールとネットと僕

同じ穴のムジナとして
すべてが判断されてしまう
そんな現実を創出してしまった
僕は
自身が最ものぞんでいなかった事実である


鏡を覗き込んだら
どんな自分がいるんだろう




本音を言うと
事実だけの状況(現実生活)を確認するあまり
夫婦や恋人や友達や親兄弟、
そして自分自身にさえも
仮面を被り続け
何の本心もあらわさない人間こそ
僕は恐くて仕方がない
(勇気を持って虚構を吐く人よりも、ずっと)


__________________________________

   思い起こせば、文章を書くことで世の中へ花々しくデビューしようと
   考え、文学を真剣に学べると言われていた大学へ入りました。

   まず、中国を学ばずして、日本文学を志すのは邪道であるという大学
   の強い信念ともいうべき暗黙の了解のもと、しばらくは中国語と漢文
   しかやらせてもらえませんでした。
   「孔子」「孟子」を始めとし、よせばいいのに国会図書館にしか保存
   されていないという貴重な文献まで、白文の状態ですべてが読めない
   と留年が決定するというものでした。

   この一年間の過酷な作業を無事クリアすると、文学を志す人間として
   日本最古の文学を学ばずして、なにが文学か?ということで、次に
   『古事記』『日本書紀』になりました。
   なにしろ、指導教授が生きている学者の中では『古事記』研究の最高
   権威のお方。生半可な研究やレポート提出など、許されるはずもあり
   ませんでした。

   ここの過程も何度も涙を流しながら、通過することが出来、ああやっ
   と…との思いもつかの間、文学を志す者として、日本最高の文学を学
   ばないのは人間以下である、ということで『源氏物語』。
   しかも原典で読破することを強いられ、目を血走らせながらぐちゃぐ
   ちゃした平安仮名を追っていたものです。

   かくして漢文、万葉仮名、平安仮名をスラスラと読めるようになった
   頃、もう卒論のテーマを決めなきゃならない。
   日本語と思っていた現代文を一切読むことなく、ここまで過ごして来
   た私はもう壊れていました。

   ただ、近代合理主義に溢れた現代の死んだ言葉の集合には、どうして
   も我慢がならず闘争を起こしてしまいそうです。

   大切だとされている事実に大声で警告をしてきた文学。今となっては
   相互理解の出来ない無駄な産物なのでしょうか。

   人が永劫に追い続けていたであろう、光のような事実ではない真実と
   究極の人間性はいったいどこを探したら見つかるのでしょう。

   (中略)

   もちろん、今は文学とは全くといって良いほど無縁の生活。
   むしろ、当時の想いからすれば、完全に逆行している日々です。

   今となってはいくつもの「なぜ?」が未解決のまま、時間の合間を
   ぬって、好きな近・現代の作家を好きな時に読むことができる…
   という日常を過ごしながら、明日も頑張らなくちゃと思う今日この
   頃でした。

   そう、多分に血が出るほど私は平穏です。
   今までの心はこのままいつか忘れてしまうのでしょうか。

   元気です。

   (1997年3月30日 日記「Tへの手紙」)



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