声の音

2004年09月21日(火) 金曜日の涙、予告。

楽しいときに終わりが来るように
永遠に思えた学生時代に終わりが来たように
祖父と来た時間、飼い犬とすごした時間、飼い猫とすごした時間に同じように終止符が打たれたように
この世に永遠に続く関係などないのだと
まだまだ20数年しか生きていない私にも分かっているけれど

出来るならそのときが少しでも遠く
出来るならそのときを少しでも少なく
・・・できるならそのときを明るく
そうやって迎えたいと思っている。

けれど、やはり世の中は動いていて
小さな歯車が動けば、巡りめぐって私の大きな歯車が動くことだってある。
私とはきっと縁もゆかりも無い人のが
私に別れをもたらす事だって、きっとある。

ずっと待って待って待って
でも本当は来なければいいと思っていたメール。

初めて私の携帯アドレスに連絡をくれたそのメール。

連絡の無かった数日間、数週間。
本当は少し期待していた。
もしかしたら、事態は動いたのではないか、と。

けれどそれは、私に最後のときを告げるための時間を
準備するために、彼の人が動いていてくれただけで
結局は分かっていた結末を迎えるのだ。

経験から、自分と世界を切り離そうとしていた
いや、距離を保とうとしていた。
不確かな世界だ。
実体の見えにくい、弱弱しい世界。
そこにのめりこんで、ヒロイズムに浸って傷ついた私を
叱ってくれる友達がいたから
上手に世界と付き合おうと思っていた。
そうしているはずだった。

愛の言葉を交わしても
そこに一枚ベールをかけて

そんな距離を保てているんだと思っていたのに。

このおかしいほどの動揺。

自分でも不思議なほど指が震えた。
喉の奥が痛くなって携帯で返事を打ちながら
どうして涙を抑えようかと思っていた。

優しい人。

ごめんと言いあうのは止めよう、と「(笑)」をつけてみた。
彼の人が知っている明るい自分を保つために。
最後の最後であの人を困らせないように。

約束は金曜日。
決戦は金曜日か、と考えてみる。
勝負の決まった負け戦。

金曜日、きっと私は泣くだろう。
バカみたいに浸って泣くに違いない。
だってあの人は大好きな人だったから。

金曜日が早く来れば良いと思う。
少しの時間でも会うことが出来るから。

金曜日が来なければ良いと思う。
それがあの人と会う最後の日だから。


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水井ちな [MAIL]