2003年08月02日(土) :
神様
異世界ファンタジーにつきもの(?)、神話伝説。 大抵、異世界を構築される際に、殆どの方が「大体の」神話とか神様とか、考えてらっしゃると思うんですけど。
基本的に、私が作った神話というのは、善悪二元論の、ゾロアスター教に近いかもしれません。 大体、ある程度、創世の方向が定まったときに、ある神が反乱を起こして、魔族を生み出して創世戦争を起こす、と。 結局は反乱した神様は負けて封じられる。 で、その反乱する神というのが、『フィルキス英雄志』の世界では、闇の神イラストス。『Shadow Saga』の世界では、破壊神アディリウス。それぞれ、その世界の主神である光の神ルアース、創造神ハルキフスズの双子の神なんですよね。 魔は神に勝てないっつーか。とはいえ、『フィルキス』では、第三者の目として、竜神を配したりしてますけど。 まあ、我々の現実世界でも、神話つーのは、どっか似通ったものを持ってるんですよね。洪水の話とか。月を掌るのは女神が多いとか。シンクロニシティですよ。 だからいいか! とか。開き直り。
『華京』ではと、申しますと。 まあ、中国ですから。唐、宋、と割と道前仏後だったんですよね。特に唐は、李姓で、その祖が太上老君、老子であるとしてるんで。唐代の『史記』の版本では、老子韓非列伝を列伝のトップに持って来てたりします。特に、唐武宗の廃仏令は有名ですね。 で、宋の場合。今の道教のスタイルって、かなり宋代に決まったものが多いようです。関羽の神格化が始まったのも、宋代、徽宗皇帝の時からですからね。あれですよ、靖康の役の際に。この時はまだ「義勇武安王」といって王だったのですが、いわゆる「関聖帝君」――「三界伏魔大帝神威震天尊関聖帝君」に昇格したのは、明代です。清代では、最初から「忠義神武関聖大帝」という封号を贈っています。中国最大のナショナルヒーロー・岳飛も、「精忠岳王」って王止まりなのに、凄いなあ、関羽。 また、有名な二郎真君信仰も、北宋から盛んになっています。清源妙道真君を追封したのも、宋の真宗皇帝です。真宗皇帝は、道教の最高神を玉皇上帝に決めた人でもあります。割と、道教かぶれだったんですよね、この皇帝。 で、時代がやや前後しますが、この北宋時の名臣、寇準・范仲淹・包拯――井上祐美子氏の『桃花源奇譚』でも御馴染みの面々ですね――が、揃って閻魔大王になっているのも面白い話です。以前、中国行った時、テレビでやってたなあ、『包青天』。 道教の神様っていうのは、こういう風に実在の人間も神格化したり、アニミズム的に山を神様に見立てたり、佛教の仏様を取り入れたり、まあ凄い数がいるわけです。六世紀前半には既に、約840柱の神様が数えられているんですが、その後にも増えてたりして、今はどれだけの数になるんでしょうねぇ……。 『華京』では、実在した人の神様は置いておくとしても、玉皇上帝や星の神格化の神様なんかはそのまま出そうかと思ってます。まあ、季節行事とかでちょっと出るだけですからね。後は、待崇の使う呪文に出てきますが。 二郎真君の扱いはどうしようかしら(笑)。 まあ、『華京』での神様ってのは、民衆の素朴な信仰対象なわけです。あんまり大袈裟なもんじゃなくて。 都市生活を描く以上は、やっぱりそういう信仰って切り離せないと思うんですよ。昔の話の場合。んで、どうしよーと思っていたところ、ふと田中芳樹氏の『アルスラーン戦記』でも、ペルシアの神様、そのまんま使ってたじゃん! ということで、あっさりと解決された『華京』神様問題。
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