座頭市 - 2003年09月10日(水) 脚本・編集・殺陣:北野武 主演:ビートたけし 最初に北野映画最新作が、「座頭市」・・と聞いた時。正直、「はぁ?」と思ったのが始まりだった。 座頭市・・と言えば勝新。これが日本の常識・・。みたいな感がある。 しかも北野映画で「時代劇????」という驚き。 話が進むにつれ、「金髪」「タップダンスあり」とか様々な噂を耳にすると、謎は深まるばかりだった。 しかし、個人的にはなんだか「面白そう」というのも本音だった。(←ただし純粋に映画が面白そう・・というのとは違う意味である。) それ以上はなるべく先入観が入らないように情報を読まないようにして、封切りを待った。 先ず、映画が始まってすぐの殺陣のシーン。 これを見た時に「ああ、間違い無く北野映画だ!!」と思った。 スピード感がありながらも、日常的に淡々と進行していく。ハリウッド映画のように死にながらセリフを吐く奴もいなければ、"タメ"のシーンもない。 物凄く現実的な切り合い。 しかしながら、シリアスの中に「ああっ!!ありそうっ!!」っていうジョークになるシーンが絶対入っている。ここが最高にニクイなぁ・・と思った。 殺陣のシーンがすこぶる速くて、驚くがこれを演じているのもビートたけしだ・・と思うと更にびっくりしてしまう。 やっぱり現実に切り合いとかあったら、こんなだろーなー・・っていう虚無感にも似た情景を私は感じた。 切ない・・とか、痛そう!!とか、考える間もなく死んでゆくのである。 (勿論、見てる方はたまに「あうーーー!!」と思うシーンもあるのだが・・) あと忘れてならないのが、「音楽」である。 この映画は素晴らしくリズミカルに仕上がっている。 畑仕事をしている百姓が鍬を持って、耕すシーンなど、画面と音が重なっているのだ。リズミカルで、どことなくユーモラス。 そしてちゃんと「和」を感じる音楽。 ラストのタップシーンに到っては、アメリカのタップは考えない方がいい。 全く異なっているからだ。(むしろタップの元祖、アイリッシュダンスに音的には似ているかもしれない。) わらじでタップが踊れるように・・と試行錯誤しながら完成したそのわらじからは、「和」の響きを感じさせる音しか聞こえてこない。 こんなタップがあったんだなぁーー・・と、感心してしまった。(なんでも日本全国からタップダンサーを募集したらしいですが) 最後は圧巻の中、終わりか・・・と思わせといて、場内が大爆笑になるオチがついている。けれども、ちゃんとこの作品のコンセプトがその最後のシーンにセリフで描かれている。 シリアスとギャグのコントラスは、ホントに最高だった。 余談だけれど、実は座頭市は目が見える!!というシーンの時に、青い瞳が見える。しかしその時にはもう、それが変だとか、何でやねん!?とか思わなくなっていた。 「あー、もしかして座頭市ってハーフちゃうの?」「そんな設定あってもええよねー。」などと、すっかり北野マジックにはまっている自分がいました。(笑) 平日の夕方行ったんですが、場内は50代くらいの方達が多かったです。 そしてみんな殺陣のシーンでは、食い入るようにシーンとなり、ギャグのシーンでは、大爆笑が起きていました。 もうそれだけでも、この映画は成功なんじゃないかな・・と思いました。 北野監督の引き出しの多さに脱帽。(笑) ちなみに私は北野映画では「BROTHER」が一番すきである。 ...
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