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■ 僕は一生懸命郷に従おうとする
さてどうすれば利するだらうか、とか どうすれば哂(わら)はれないですむだらうか、とかと 要するに人を相手の思惑に 明けくれすぐす、世の人々よ、
僕はあなたがたの心も尤もと感じ 一生懸命郷に従つてもみたのだが 今日また自分に帰るのだ ひつぱつたゴムを手離したやうに
さうしてこの怠惰の窗の中から 扇のかたちに食指をひろげ
青空を喫ふ 閑を嚥む 蛙さながら水に泛んで
夜は夜とて星をみる あゝ 空の奥、空の奥。
中原中也 「憔悴」V、『山羊の歌』所収
詩人は世間に適応しようと手を尽くして、夜にまた自分に帰る。ちょうど引っ張ったゴムを手離すように。 僕はこの歌詠みのように、発狂してこの世から消えうせてしまうほどの強力な自分を持っていないし、自分であるために一生、貧乏でいてもいいとも思わない。 世の中は金じゃない、と言う君よ、ならその金を私の前に全部出してみろ。 そんな歌も、以前目にしたようだ。
ああ、空の奥、空の奥。何があるというのか? まさか偵察衛星の軌跡じゃあるまい。
2003年03月28日(金)
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