ゆれるゆれる
てんのー



 僕ら、戦争ダイスキッ

 国営のチャンネル、TV1は殊勝にもCNNの緊急特番を生中継で流していた。

 マレーシアのテレビ番組は、どうも運営に問題があるのか、カメラ自体が足りないのか、ニュース特番とかサッカー特番とかをしょっちゅう組むくせに1時間ひたすらコメンテーターがしゃべり続けるだけ、というパターンが多いので、こういうときはこれからも「丸投げ」で行ってほしい。

 内政の報道にいろいろ制約が多いせいもあると思うのだが、国際政治の話題について、マレーシア人は実に良く話す。それぞれ一家言あるのが当然と思っている節がある。

 以前ヌグリ・スンビラン州セレンバンのバスターミナルで、チケットカウンターのおっちゃんに「日本人か。お前は『対テロ』戦争についてどういう意見だ」と唐突に突っ込まれてうろたえたことがある。一泊ででかけた帰りの夜のことで、疲れていてあまり覚えていないが確か「お、お、俺はあの戦争には反対だ・・・」とかニューホライズン的英語で社民党みたいなへっぴり答弁をひねりだしてバスに逃げ込んだような覚えがある。

 彼らが知り合いなんかこの話題でつかまえたらえらいことになりそうだから、今日などは極力時事ネタに係わり合いにならないようにおとなしくしていた。

 思えば湾岸戦争は、中2の三学期だった。当時の2倍近くも年をくったのかと思うと、90年代は遠くなりにけり・・・と遠い目の一つもしたくなる。冬らしくどんより曇った寒い日だった。あの戦争のときは、「CNNの人って唯一バグダッドに残って世界に報道するなんて、えらいなあ」と純粋に思ったもんだ。そして「あっという間に」戦争は終わり、すぐにニュースステーションあたりで重油まみれの水鳥などを見て「結局戦争なんて弱いものいじめなんだよな、現代の戦争なのに残酷なんだな」と純粋に納得したもんだ。

 安全な場所から、なに遠い目で知ったかコイテやがる、と言われそうだ。いま現実にイラクの庶民がばしばし殺されてるのに、と。そのとおりです。

 ただ一つ、ニュースサイトで日本人が何人か「人間の盾」としてイラクに乗り込んでいる、というのを知ったが、俺はこういう奴ら、こういうニュースが一番きらいだ。ふざけんじゃねえぞ。人間という存在を何だと思ってやがるんだ。イラクという土地に生きるしかない、家族もろとも殺されかねない人たちの人生を、何だと思ってやがるんだ。自分の命を、何だと。ふざけるな、まじで。

 人として誇り高く生きようとするなら、すぐに安全な場所に避難しろ。安全な場所から、反戦運動でもタマちゃん捕獲作戦でも、やれることはたくさんあるだろうが。命を粗末に考える奴が、戦争反対なんて笑わせるな。もちろん、彼らだけに言ってるんじゃない。

 見えないわけじゃないだろ、盾は、俺たちの心の中にしっかり用意されてるのが?

 中に24歳の男子大学生もいるという。ご無事の帰国後、合コンやれば最高の話のネタになるだろうね。これぞパックス・ジャポニカ、パックス・マクドナルド! ガソリンは値上げだから気をつけてね!!

2003年03月20日(木)
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