ジョージ北峰の日記
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2009年09月25日(金) |
オーロラの伝説ー続き |
XXX 現在、進行する地球破滅のシナリオを書き換えることはほとんど不可能な状態に陥っていました。 先進国に対し反発を続ける所謂“テロリスト”を力だけで抑えこむことには無理があったのです。現代の戦争では、国家間にまたがる姿の見えない敵との戦いを覚悟しなければなりませんでした。 仮にあるグループを押さえ込むことに成功したとしても、他の国で別のグループが蜂起する。戦争はモグラたたきの様相を呈し始めていたのです。
だから先進国は見えない敵に対する自国の安全対策にも莫大な費用が掛かり、経済の成長は蝕まれ国家財政の疲弊することになっていたのです。 一方経済状態の悪い発展途上国も“テロリスト”の温床になるか、あるいは又国家が崩壊する危機に曝されていたのです。 さらに悪いのは“テロリスト”の大義は低開発国の人々に受け入れやすい経済的状況になっていて、彼等に強いインパクトを与え始めていました。 その上大国の安全を保障するはずの科学も、科学技術の進歩に伴って“テロリスト”の力を強大化する原動力になっていたのでした。 つまり彼等のネットワークは国を超えて張り巡らされていました。 情報戦でさえ、大国に有利という状況ではなく、小さなテロリストグループの本部でさえ大国の司令本部と変わらない情報収集又は発信能力を獲得していたのです。 そんな状況下で、先進国がテロリストを攻撃する場合、その方法は必然的に無差別攻撃しかなく、結果的に民間人が甚大な被害を被ることになったのです。そしてテロリストを支持する人々の数をさらに増大させる悪循環に陥ったのです。 こんな状況下で軍事力が有効な手段と考えること自体が幻想だったのでしょう。 先進国にとって必要なこと、それはやはり、何が“正”で、何が“悪”か、を誰もが納得できる形で明らかにすること。そして悪を支持するグループを社会から孤立させることが、事態を解決する上で最も重要なことだったのではないでしょうか。 このプロセスがないまま、軍事力を一方的に行使してしまったことが、今回の事態を招く結果になったと考えられるのです。 歴史を振かえってみても、強大な国家の崩壊は、支配層の利権と軍事力が結びつき、正義を失ったまま支配層が思い上がり、被支配層に理不尽な圧迫を加えた時に起ったのです。 それは、支配層のモラルの低下と軍の士気の低下を同時に引き起こしたからでした。 それが “勝者必滅の論理”だったのです。 今回の地球破滅の戦争も、先進国が理性を失ったまま、正悪の判断も充分検証しないで戦争に突入してしまった可能性はなかったのでしょうか? つまり、悪の根源は何か?と充分検証されていたと言えるのでしょうか? それも一国の利益の立場からではなく、グローバルな観点から---。 人々の間に生じた富の分配の不均衡と、 “軍事力で人の心を封殺できる”という大量破壊兵器の拡散こそが悪の根源だったとする反省があったのでしょうか? 本来科学が進歩すれば、人類の英知が増し、この問題は理性的に解決できるはずだったのです。 今、取り返しのつかない地球規模の破壊的戦争が勃発してしまったのです。
結局科学はこれまで人類に何の英知ももたらして来なかったのでしょうか---。
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