ジョージ北峰の日記
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パトラはラムダ国の女王としてではなく、私のパ-トナーに相応(ふさわ)しい普通の女に変わろうとしているらしいことが分かりました。 「パトラ、あなたは私にとっては、女王様のままで良いのです」と言いますと、彼女は軽い接吻で答え「私は、あなたの国の習慣に早く慣れたいと考えているのです」と少し力を弱め、私から離れると片肘をつき、私を見詰めながら 「これまで私はこの国では女王として振舞ってきましたが、これからはあなたの国では夫婦として新しい生活を始めることになります」と、そして私の興奮を楽しむように敏感な部分を深く握りしめ「あなたも少し不思議に思われたと思いますが、ラムダ国には、文書になった法律はないのです。私達の国では、生きてゆく為に必要な決まり事はすべて遺伝子の中に刷り込まれているのです。あなたの住む三次元世界でも人間以外の動物達は、法律に基づいて生活している訳ではないでしょう?彼等は遺伝子が命ずるが儘(まま)の生活様式を守っているのではないですか?」と、少し言葉をきり、 彼女は愛おしそうに私の腰から大腿にかけて優しく愛撫する、そして又手を元に戻すと私の興奮が冷めていないのを確認するように力をこめ、握りなおす。 私が「あっ」と声を出しますと、パトラは面白そうに笑顔を浮かべながら「そのことがあなた方の世界の生態系維持に必要なことだったのでしょう?」と、それからパトラは七色の光に照らし出された肉付きのよい脚を、まるで生き物の様に動かし私の体に絡みつけてくるのです。 そして、さらにこの雰囲気にはあまりふさわしくない(白けるような)話を続けるのでした。 「しかし、現在では人間だけが、突出してこの掟を破ろうとしています。人間は、定められた以上に、自分の知性と欲を増大させてきました。これは想像以上だと老博士は言っていました。ことに最近では、際限のない人間の物質欲が、地球上の生命を奪いつくしかねない状況なのだ、そうです。さらに核エネルギーの開発が加わって、その深刻さが増幅しかねない状況なのです。本来、現代の人間に与えられた自由度には限度があるはずです。しかしほんの少し遺伝子の設計ミスがあり、それが基で、人間の物資欲を必要以上に煽ることになったらしいのです。今や人の欲望には限がなく、それが現代の地球を滅ぼす程の巨大エネルギーになろうとしているらしいのです」
私はパトラの話に尤(もっとも)と納得できる部分もありました。が、だからと言って、「しかし私には、現代の人間社会をどうにか出来るとは到底思いませんが」と反論しますと、彼女は笑みを浮かべながら「しかし、今のままでは、いずれ人類は滅びてしまうでしょう?」 「もしそうなれば、それで良いのではないですか?自分達でしたことですから、諦めもつくでしょう」 私は少し苛立って来て、一方では会話の内容とは裏腹にパトラがとても愛しくなり、もはや我慢出来そうもないほど気分が昂じ、そのまま会話をきると、パトラを抱きしめ、やさしく愛撫をし始めました。その間もパトラは呟くように「勿論恐竜の様に絶滅させるわけにはいきませんが--」と話しを続けようとしました。 が、私が構わず、さらに熱をこめて愛撫を繰り返しますと、パトラは驚くほどの強い反応を示し始めたのです。そして意味不明な言葉ではありましたが「!!」と喘ぎ、さらに「初めてよ!」と言いながら、私の行為に抵抗もなく従ってくれるのでした。ラムダ国へ来て、私とパトラの関係が初めて逆転した時でした。 その夜、私はとても満足していましたが、やはり疲れきっていました。そして、そのまま眠りこけてしまったようでした。
私がふと目を覚ましますと、私はベッドで横になっていました。そして傍にパトラが座っているのでした。「此処は何処ですか?皆はどうしたのですか?」と私が寝ぼけたまま起き上がり尋ねますと、すでに身づくろいを済ましていたパトラは、それには答えず「目が覚めましたか?」と笑顔になって囁くように「窓の外を見てください」と言うのです。 眠い目をこすりながら窓の外を見て驚きました。其処には珊瑚礁の景色はなく、真っ暗闇に果てしなく星空が広がっているのです。そして?!雲の切れ間から暗闇に宝石の様に輝く懐かしい地球の街灯りが見え始めたのです。 さらに、驚いたことがありました。パトラが指差す方向を見ますと、なんと戦闘機らしい影が追尾しているのです。「あれは?」私が叫びますと、パトラは「恐らく地球を発進した戦闘機が我々のUFOを調査しているのでしょう」 「相手は攻撃しないのですか?」と尋ねますと「大丈夫です、相手はこちらに気付いてはいるようですが、見えてないと思います。センサーで我々の機体を捕らえている可能性はありますが---」 私はとんでもない状況下に目覚めたようでした。
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