ジョージ北峰の日記
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2008年09月08日(月) |
オーロラの伝説ー続き |
XXIV 話を先に進めましょう、オメガ国との戦争に勝利したラムダ国は、国造りの新しい段階に入ることになりました。私が、この国に来るまでは、パトラを中心とした女王制でした。そして背景には老博士を中心とした国造りの仕掛け人が絶えずラムダ国、オメガ国の進む方向を監視していたのでした。しかしラムダ国の指導者達と国造りの指導者達との評議会会議で、議長役の老博士は、これまで国造りに関わってきた国づくり指導部のメンバーが戦後のラムダ国の体制造りに干渉することは一切ないと明言しました。 しかし今後、私の様な現代の地球人をラムダ国に取り込むこと、そしてラムダ国人と一緒になり両者が混ざり合って、新たな地球の創世に努力することが今後の地球生物の円滑な発展に必要だと言うのでした。いずれ必ず訪れると予想される地球上の大災害、つまり太陽の黒点の肥大化とそれに伴う氷河期の到来によって地球上の大部分の生命体は絶滅するだろう。しかし、地球未来の発展の為にはすべてを全滅させてはいけない、ノアの箱舟のように、まず現存している生物の中から将来の生命体の発生に絶対に必要と考えられる生物を助け・大災害から隔離することが必要だ。その為にすでにラムダ国、オメガ国のエージェントが地球上に侵入、活動を開始している。しかし今後さらに活動の範囲を広げる必要がある。 「地球人に悟られることはないのですか」私が訪ねますと、博士は「我々はUFOを使っているから普通の地球人達は気づかれないのだよ」と極めて当然のように、あっさりとした口調で答えました。「無論、すでに私達の存在について研究している人間もいるようだが--」 「私もこの国へ招待される資格があるのでしょうか?」私が絶えず疑問に思ってきたことを尋ねますと「ドクターはすでにこの国の存在を認識し、何の問題もなくこの国の人々と生活をしている。それはやはり現代の地球人の中では特筆に値する能力なのだよ。パトラはドクターのその能力を見破って、この国へ連れてきたのだ」 「で、私は元の国へは戻れないのでしょうか?」 親や、兄弟、友人たちのことを最近では頻繁に思い出すようになっていました。やはり自分だけが地球上の災害を逃れて生きることが出来ても、とても幸せとは思えそうもない。仮に大災害で死ぬようなことになっても、やはり出来れば私を産み、育ててくれた親や兄弟の下へ帰りたい気持ちが強いと主張しますと「そのことについては何の問題もない、近い将来ドクターが望むなら元の国へ復帰させることも可能だよ。しかしパトラは君を愛しているようだが--」 そうだった。私もパトラを尊敬し、いつの間にか深く愛していました。パトラと分かれることもとても出来そうにありませんでした。私は一瞬考え込んでしまいました。すると老博士は少し笑みを浮かべながら「君が望むならパトラと一緒にドクターの国に帰ることも可能だよ」 「本当ですか!」驚いてさらに、 「しかしこの国はどうなるのでしょう。パトラはこの国の女王なのでしょう?女王が私と一緒にこの国を去るようなことがあれば困るのはこの国の人々ではないのですか?」 それについて老博士は正面から答えようとはせずに、念を押すように「以前ドクターに、戦後はパトラを休ませてやりたいて言っていたのを覚えているかい?-- それが理由だよ」 そのうえ私がパトラと結婚することも帰国することも可能だと言うのです。 私は、驚いてパトラの方に振り向くと、彼女も少し笑みを浮かべながらゆっくりと頷いたのです。私は心の中で「嘘だろう!そんな馬鹿なことがあるなんて?---とても信じられない---」と叫んでいました。皆の尊敬を集めてきた女王パトラと結婚できるなんて私にとってまさに夢の夢、御伽噺の主人公の王子様になったような話でした。 すると博士は少し真面目な表情に戻って「ただし君は生涯パトラと別れてはいけない。そしてこの国のことは、一切記憶の中から消さなければいけない。それが守れるかね?」 「もしこの約束が守れなければ、ドクターやドクターの家族にどんな不幸が起こるか分からないが。それでもいいかね!」とさらに強い口調で念を押すように言うのでした。----- 私は博士の話で、有頂天になっていました。博士との約束は簡単な事のように思えました。 それよりもラムダ国の女王パトラと一緒に帰国できる! 皆はどんなに驚くだろう!嫌な理由がある訳がありません。
その時、私はまさに御伽噺(おとぎばなし)の主人公になったような舞い上がった気分になっていたのでした。
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