ジョージ北峰の日記
DiaryINDEXpastwill


2006年05月02日(火) オーロラの伝説ーー続き

モンスターザメと雖も(いえども)背後からの攻撃には如何することもできないはずで、彼らを操る戦士を攻撃するには最適の方法と考えられたのです。しかしーー味方の一群が一斉攻撃をかけようとした時、それを予想していたかのように上方から敵の一群が攻撃をしかけるーー
 それからは敵・味方が入り乱れて格闘戦が始まりました。
 味方のサメには数本の白い縞模様が頭部と尾部にあり、それが目印となって、戦況、即ち敵・味方どちらが追い、どちらが追われているのか画面上も良く判別できました。
 敵に追われる味方、逆に敵を追う味方の戦士たちは三次元空間をフルに使って戦っている。いつの間にかモンスターザメの一群も隊形を立て直し傍若無人に振舞っている。
 それにしても、実際の戦争の最中とは言えサメが馬のように戦士の指示通り懸命に戦う姿は、戦況とは関係なく(おそらくサメであるが故と思うのですが)感動を呼び起こすのでした。
 一方戦況は、手に汗を握るほど緊迫した状況で、本当は美しい南国特有の紺碧の海だというのに、海は血で真っ赤に染まり白い珊瑚礁も熱帯魚の群も目に入らない凄まじい混戦状況が続いていました。
 モンスターザメの出現があって、味方の戦士たちの奮戦にもかかわらず、戦況は味方に不利な状況へ徐々に展開しつつあるのでした。
 その時! 遠くで、すばやく泳ぐ一頭のサメを三頭のサメが追尾する様子が画面に飛び込んできたのです。
 そのサメの戦振りは鮮やかで、後ろからの攻撃を反転、素早くかわしたかと思うと横からの敵を撃退、他の2頭の前後からの攻撃に対しては、さらに複雑に反転・上昇・攻撃を駆ける。見てる間に、三頭の敵を撃退、敵戦士が沈んでいく姿が見えました。 まるで少年の頃に映画でよく見た、戦闘機同士の空戦を見ているような錯覚に陥ったほどでした。
 戦いは遠く、その戦士が敵なのか、味方なのか最初は分かりませんでした。
 その戦士が操るサメは決して大型ではありませんでしたが(後ほどサメでないことが分かりました)、敏速で複雑な動きができるようでした。
 
 しかし横で戦況を見ていたアレクが「アッ、王女!」と叫びました。
 なんと、味方の戦況が不利と判断したのか、パトラが戦線に加わっていたのです。
 一瞬、私の全身が火のように熱くなるのを覚えました。
 まさかこんな危険な戦場に王女パトラが誰に相談することもなく出撃しているとは!「どうして?」 
 私は驚いたと言うより、あまりに無謀さにあきれましたが、しかし一方訳の分からぬ感動で、周囲の景色がかすんで見えた程でした。
 パトラの日ごろの言動だけでなく、今回の行動ほど、彼女の王女としての責任感と強い心意気を感じたことはありませんでした。
 しかし「何故この危険な戦場に、今この状況で王女が出撃したのか?パトラが死ねばどうなるのか?分かっているのか!」
私にはこの国の戦争のあり方や王の果たす役割がよく分かりませんでした。
彼女の無謀とさえ思える今回の行動に、私は、怒りがこみ上げてきたと言ったほうが正しかったかもしれません。アレクも立ち上がっていました。
 
 しかし味方もパトラの参戦に勇気づけられたのか隊形の建て直しを図り始めていました。


ジョージ北峰 |MAIL