与太郎文庫
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2004年07月02日(金) |
アントワーヌの日記 〜 19180702-1118 〜 |
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20040702 >> ル・ムースキエ 一九一八年七月二日 夜も終わりに近く、たったいま、ちょっとうとうととしたあいだに ジャックの夢を見た。もうその話の筋をたぐりあわせることもできなく なっている。昔、ユニヴェルシテ町の階下の部屋でのことだった。その ことから、おれは、ふたりがいっしょに、きわめて身近に暮らしていた ころのことを思いだした。いろいろな思い出のなかでも、とくに、少年 園を出てきたジャックをおれの部屋に引きとった日のこと。しかも、お やじの監督からのがれさせてやろうと思って、それを思いたったのはこ のおれだった。それでいて、鼻持ちならぬ反感、利己的な後悔の気持ち をおさえることができなかった。いまでもよくおぼえている。おれは心 にこう思った。<<よかろう。おいてやろう。だが、そのため、おれの習 慣、おれの仕事がじゃまされないようにしなければ>>成功! 一生を通 じて、おれはいつでも<<成功>>の二文字をくり返してきた。おれにとっ ての合い言葉、そして唯一無二の目的。そのためにささげられた十五年 の努力……しかもいま、このベッドの上で、けさ、その成功の二文字が なんとばかばかしくひびくことか! …… (略) 七月八日 三十七歳。これが最後の誕生日! (略) 一九一八年十一月十八日月曜 三十七歳、四ヵ月と九日。 思ったよりもわけなくやれる。 ジャン・ポール エピローグ 了 ── Du Gard,Roger Martin/山内 義雄・訳 《チボー家の人々(第5巻)19560905-19620630 白水社》P270,347 〜 Martin'du Gard《Les Thibault,1922-40》《Ete 1914,1936》 <<
山内 義雄 早稲田大学教授 18940322 東京 19731217 79 仏文学〜仏蘭西詩選 アントワーヌ,Jean-Paul(架)18810708 France 19181118 37 自殺 デュガール,Roger Martin 18810323 France 19580822 77 1937ノーベル文学賞
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