http://d.hatena.ne.jp/adlib/20030325
ワイドショーの司会者が、ゲスト・コメンテーターに問いかける。
「こんどの戦争は、いつごろ終るのでしょうか」
「私が、この番組に出なくなった時です」(高橋和夫・放送大学助教授)
こんどの戦争は、あきらかにプロテスタント対イスラムの構図である。
カトリック&フランス、ビザンチン&ロシアが、それぞれ一歩退いて
いることも不気味である。
わが国のジャーナリズムや政治家が、どうも外交オンチなのは、宗教
的背景に疎いからである(たとえば牧師と神父と司祭が区別できない)。
あるいは、それぞれの暦に無関心すぎるのではないか。
下記の対照表は、キリスト教の用いる西暦(グレゴリオ暦)に対する
イスラム暦・ユダヤ暦の日付である。インド暦とイラン暦は、それぞれ
ヒンズー教とイスラム教の年号をもつが、最新の近代的な春分暦である。
エティオピア暦は、キリスト教の分派とイスラム教徒が共存する連邦
民主共和国の公用暦として継承されている。
Gregorio Ethiopia India Iran Islam Judea
solar : lunar
19910117 湾岸戦争開戦 19820509 19121027 13691027 14110701 57510502
0228 湾岸戦争停戦 0621 1209 1209 0813 0614
20010911 同時多発テロ 19930101 19230620 13800620 14220622 57611221
1007 21:00 アフガン空爆 0127 0715 0715 0719 57620118
1008 01:30 (日本時間) 0128 0716 0716 0720 0119
1116 Windows XP(日本版) 0307 0825 0825 0829 0228
1117 (ラマダン朔日) 0308 0826 0826 0901 0229
1206 アフガン空爆停止 0327 0915 0915 0920 0319
20030318 ネパール陰暦新年 19940709 19241227 13811227 14240114 57630613
0319 19:12 Let's Go ! 0710 1228 1228 0115 0614
0320 09:12 (日本時間) 0711 1229 1229 0116 0615
0321 イラン太陽暦新年 0712 1230 13820101 0117 0616
0322 インド太陽暦新年 0713 19250101 0102 0118 0617
イスラム原理主義のテロリストは、どんな理由から、史上空前の日付
を“9.11”と定めたのだろうか。
内外のジャーナリストが、誰ひとり指摘しなかったのが不思議だが、
この日が、エティオピア暦の元日にあたるのは偶然だろうか。
ビン・ラディンやアルカイーダが、いかなるメッセージを託したのか
分らないが、実行犯グループにエティオピア出身者がいた可能性もある。
エティオピア暦では、年末の5日間(閏年は6日間)が休日なので、
休日を利して犯行を準備したように見えるが、死を覚悟した者ならば、
身分を隠したり職場復帰する必要はないのである。
エティオピア政府の公用暦ではあるが、古代の祭日を記録するだけで、
日常生活ではもっぱらグレゴリオ暦を用いており、おなじ太陽暦なので、
相互の日付は四年周期で一致する。
(元日の日付が、20000911/20010911/20020911/20030912 と四年ごとに
ことなるのは、閏年の位置が二年ずれているためである)
エジプト暦やコプト暦を継承する現存最古の太陽暦として、暦法史や
古代キリスト教研究にとっては重要だが、イスラム教との関連はない。
また“9.11”は火曜日で、イスラム教の聖日(金曜)ではない。
イスラム暦六月二十二日が、彼らの聖人(殉教者の誕生日や命日)に
あたる可能性も、いまのところ見あたらない。
この種の発想は、もはや現代的ではないかもしれないが、テロリズム
の背後にあるものは、報復・復讐・因果応報の情念である。
迷宮入りとなった《悪魔の詩》暗殺事件は、イスラム暦年末14111229
(大晦日)に遺体発見されている。イスラムの一日は夜にはじまるので、
時差のとらえかたによっては、実行犯が元日(14120101)と考えていた
可能性もある。
五十嵐 一 (筑波大学助教授)1947 新潟 茨城 19910712-44 刺殺
Gregorio Ethiopia India Iran Islam Judea
19910712《悪魔の詩》事件 19821105 19130421 13700421 14111229 57511029
↓
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20050712
《イスラムの時効 〜 続・報復の暦 〜 》
画像;松井 茂《イラク》
── 一九九〇年八月、クウェート併合事件が生じた。本書の土台とな
った「知られざる軍事大国イラク」(日本工業新聞社刊は、同事件の二
ヵ月後に緊急出版された。当時から中東モノが書店に溢れたが、今まで
のところ、当事国のイラクおよびべルシャ湾の軍事情勢について、焦点
を当てた本格的な単行本は出ていない。
これは、日本の中東研究家および軍事研究家の両グループの構造的欠
陥による。すなわち、中東研究家のほとんどはイラクを訪れたことがな
く、その実態を理解していなかった。イラクについて、十年以上の現地
体験を持つ者は筆者の他にはほとんどいない。また、彼等は日頃から軍
事・安全保障問題に関心を持っていない。中東が「世界の火薬庫」とい
われるほど、軍事紛争が多発し、かつ中東諸国の大部分の政府が事実上、
軍事政権であるのに拘らずである。
軍事研究家グループについては、中東通の高橋和夫・放送大学助教授
が「げんだいライブラリー」(「週刊現代」九〇年十二月八日号)で、
痛烈に批判されているように、「実際の戦争を現地で研究しない不勉強」
ぶりを如実に露皇した。
以上のようなイラクおよび軍事知識を欠く中東研究家、地域研究をや
ろうとしないデスク上で兵器年鑑をひもとくのみの軍事研究家が、マス
コミに依頼されて、めだとうとしたばかりに、誤った解説の連続となっ
た。── 文庫版あとがき(P293-294)
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4122017912
── 松井 茂《イラク 〜 知られざる軍事大国 19910310 中公文庫》
(20101001)