与太郎文庫
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1985年01月01日(火)  中学生諸君! Basic 5

 

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 坂田 ひろし → 坂田 〓 SAKATA, Hiroshi
 


┌────┐ 《中学生諸君!》編集を卒えて………………阿波 之男
│Basic 5│ 《中学生諸君!》によせて
└────┘  柔軟な発想を…………………………………坂田 〓
        解けても分らない……………………………那須 俊夫
        なぜ?に解答を………………………………近藤 彰
        偏差値はさけられない………………………小野 啓三
        発見のよろこびを……………………………佐藤 章一
        ゆとりのある環境を…………………………内藤 秀光
        お母さんもいっしょに………………………中村 桂子
        吾輩も中学生であった………………………松下 寛美
        活用のてびき………………………………………  59
       《社会科年表》 ……………………………………………

 
  《中学生諸君!》編集を卒えて………………………………阿波 之男
 
 全国公立高校の定員は約 128万人、分校や市町立、私立高校、その他
を含めて5369校です。進学率が93%を超える反面、分数計算のできない
中学生が三分の一もいるといわれます。
 入試の直前ともなれば数十万人の中学生が悪夢にうなされるのではな
いでしょうか。そして数万人が絶望し、数万人は放棄します。なかには
参考書や問題集を求めて取りくむにしても、結局は教科書とおなじ出版
社が作ったものなので、たちまち目の前がひらけるというわけにはいか
ないのです。ある段階で、それぞれ理解力が停止するのが実状でしょう。
 ほとんどの高校が、数学・理科・社会・国語・英語の五教科を受験科
目としており、そのまま国公立大学の共通一次試験とつながっているわ
けで、まさに五枚の踏絵でもあります。さらに、小学校ではひとりの先
生が、ほとんどの教科をひとりで教えるのにくらべて、中学以降は、各
科専任の先生が指導にあたります。そこで気づくのは、五教科というも
のが、はたして理想的な関連のもとに理解され、把握されるかという点
です。
 また義務教育という面でも、国民ひとりひとりが課せられた知的水準
であると思われます。さらには、人格形成に重要な年代として、均整の
とれた基礎知識を身につけ、社会人としての公正な見識を備えるために
欠かせません。
 教育の普及率、進学率、さらには到達水準いずれをとっても、現代日
本の中学生は世界一のあるいは歴史上空前のめぐまれた立場にあります。
そして五教科といわず、全教科に共通していえることは、すぐれたカリ
キュラムと教科書が、個々に完成している点です。
 私のスタッフが試みたのは、これらの学問をひとつの体系のもとにと
らえ、一覧できるような形式です。このたびは五教科に限りましたが、
まず数学によって示される空間のイメージすなわち宇宙表現にはじまり、
科学における地球上の物質の紹介、そして生物が生れ進化して人類が誕
生するという、長大なストーリーを考えました。つづいて人類の歴史は、
文化遺産としての言語体系に到達します。これらを、受験だけのために
無味乾燥な机上の学問とみるのは、惜しむべき風潮です。
 五枚の踏絵としてでなく、一幅の鳥観図として、五百数十万の中学生
諸君に、あらたな展望によるあたらしい発見と希望をもたらすべく、ま
たとないチャンスを与えてくださった各界の関係者ならびに協力者の方
々に、心から感謝する次第です。           (19841201)
 
◆ 柔軟な発想を…岡山大学教育学部教授(解析学・応用数学)坂田 〓
 
 小学校での算数ぎらいをなくすには、まず柔軟な思考が必要です。
 子供はそれぞれの生活環境や体験によっていろいろなイメージをもっ
ていて、解答に至るまでの過程が、それぞれ異なる場合が多いんです。
 たとえば8個のケーキを40円の箱に入れて 600円払いました──とい
う問題でも、ある子供はケーキ1個づつを8個の箱に入れたと考えます。
どちらが正しいということでなくいろいろな解きかたができる点を評価
して、お母さんが第一発見者となって、ほめていただきたい。つぎの段
階では、算数には約束事があることを、ていねいに教えるわけです。
 600-40÷8 という式は、考えの順序としてまちがいではありません。
×÷は、先に計算するというのが約束事であるために、(600-40)÷8 と
書く必要が生じます。
 中学になると、こうした約束事がたくさん出てくるので、柔軟な思考
をたいせつにするとともに、約束事そのものと上手につきあうことが数
学と仲よくするための第一歩になります。
 
◆ 解けても分らない………広島大学教育学部教授・理学博士・那須 俊夫
 
 中学の数学を代表するのは、放物線です。コンパスや定規で描けない
曲線──いったん上ったものが降りてくるのを、不思議に感じるのが、
数学的センスでしょうね。ところが、そういう基本を知らなくても練習
問題だけくりかえしていると、正解が得られる。このほうが実は困った
ことなんです。勉強というよりトレーニングにすぎないので、共通一次
までは、そこそこの成績であっても、二次試験では通用しない。
 グラフを折線で描く受験生が多いけれど、そのあと数学を学ぶのは、
ちょっと無理でしょうね。数学を面白くない、という人たちは、たぶん
解きかたの練習しかしなかったので、興味がもてないのは当然です。こ
ういう現状のレベルを、何とかするには、教える側の工夫が、もうすこ
し必要かもしれませんね。
 
◆ なぜ?に解答を…………………山口大学教育学部助教授・近藤 彰
 
 中学生の心理は、学習の面で「学」の時代に入っています。つまり、
学問的なものの見方が強まる時代と考えられます。その反面で、あまり
理論的に過ぎると、思考の面で疲れてしまう弱点もあります。ようやく
大人の仲間入りをはじめる時代でもあるわけですが、今の学校の体制か
らすれば、かなり「管理規制」が強いと思われます。
 この「学」と「管理規制」が、うまくかみ合うような学校生活が送れ
るならば、彼らの将来はすばらしいものとなりましょう。
 髪型やスカート丈の規制に対して、生徒たちの「なぜ?」という疑問
に対する学校側の説明が、彼らの求めている解答にマッチしない面も、
多々あるようです。そのこと以上に必要なのは「なぜ学ぶのか」「なぜ
生きるのか」という疑問を持ちながら、十二分に先生に訴えられないま
ま、日々が流れていることです。親もふくめて、教師が見すごしている
ところに問題点があると思います。
 
◆ 偏差値はさけられない………元岡山県教育委員会教育長・小野 啓三
 
 戦後まもないころの高校受験は、九教科のうち五教科選択でした。ペ
ーパーテストでは評価しにくい音楽や体育などは内申書を参考にすると
いうことで、五教科になったり三教科になったりして、現在の五教科に
落着したのも、国公立大学の共通一次とつながるからでしょうね。社会
人になって、競争社会に出るためには、みんなが同じことを考えるのは
やむを得ません。その中で、偏差値という考えかたが民間から登場して、
たちまち教育界に普及してしまった。ペーパーテストに関するかぎり、
その確率は天気予報の比でなく、ついに合格するための受験校まで特定
できるところまで発達したといわれる。もちろん、おおくの反対もある
わけで、学歴偏重だけの競争社会が最上であるとは、誰もが思いたくな
い。しかし、それに代る次善の方法が今のところ出現していないのも現
状なんです。かりに他の方法を採用するにしても、父兄の方々を説得で
きるとは思われませんね。
 
◆ 発見のよろこびを……………前岡山県教育委員会教育長・佐藤 章一
 
 たとえば音楽のような教科は、ペーパーテストでは採点がむずかしい
といわれ、客観的評価に適したものとして、現在の五教科が選ばれてい
ます。しかし私自身が物理・化学で教鞭をとった経験から思うに、理科
もまたペーパーテストだけで本人の理解力や能力を認定できるとはかぎ
らないのです。つまり、理科の学習では実験をくりかえしながら物体の
性質を知り、その変化に感動することが重要なんです。
 観察し、手で触れるなど五官を通して、あらゆる現象に興味をおぼえ
ることが、とくに中学時代に要求されるのです。そしてひとりひとりに、
発見のよろこびをひきだすことが目的で、個々のイメージをどう体系づ
けるかという面で、ほんとうの理解力が育つわけです。高校生になれば、
これらを抽象的に把握して、さらに深い興味に発展するものです。
 大学受験に際しては、共通一次と別の角度でもっと特徴のある出題が
のぞましいのですが、結局のところ、大勢の生徒を選別するという現場
作業の実態をみると、現行のものを時間をかけて微調整する以外に、妙
案はなさそうですね。
 
◆ ゆとりのある環境を……………岡山県PTA連合会会長・内藤 秀光
 
 いま直面しているのは、何といっても非行問題ですね。そして幼稚園・
小学校での家庭教育がいちばん大切であるといわれています。とくに最
近の風潮として、ものに対する感動が失われているようです。
 進学や受験については、私たちは目あたらしい意見をもっていません
が、あるアンケートによると、最近の教育が良くなったと感じているお
母さんたちは、わずか10パーセントしかおられない。みんなが危機感を
もっているのが現実なのです。しかし教育の原点は、ひとりひとりの心
の向上にあって、さまざまな問題にとりくみながらも、ある種のゆとり
を失ってはならないと思います。目に見えないものに対する豊かな心を
もった人づくりを、本来の目標とすべきでしょうね。
 
◆ お母さんもいっしょに……日本PTA全国協議会副会長・中村 桂子
 
 私が母親として、PTAのお手伝いをさせていただいて、もう二十五
年もたってしまいました。とくに今年は、会議や研修旅行のために家を
空ける日が多くなりましたので、中学生の息子たちにとって、決してい
い母親ではないと思います。そんな私がいうのも変ですけれど、母親は
やっぱり子供のそばに居ることが仕事なんです。
 上の娘のときには、私も若かったし、ずっと勉強をみてやったり、水
泳を習ったりできたのが、だんだん下になると放っておくわけではない
んですが、熱心さがちがってくるんです。そういう経験から、若いお母
さんたちにおすすめしたいことは、なるべく子供のそばに居てあげるこ
とと、お母さん自身が勉強する決意をなさることですね。だいたい小学
校くらいまでは、片手間にでも勉強をみてやれるのですが、高校受験の
まぎわになると、ほとんどのお母さんたちは、忘れてしまっているんで
す。勉強しなさいといっても説得力がありませにんよね。そこで中学生
になったつもりでいっしょに勉強されてはいかがでしょう。
 そうするうちに、家庭内でのしつけ、集団の中でのけじめ、といった
面で自信をもって家庭教育が実るのではないでしょうか。
 
◆ 活用のてびき
 
対象◆中学一年生からお父さん、お母さんまで活用できます。
内容◆高校入試に必要な五教科の、もっとも基礎的な部分を視覚的に、
   かつ体系的に学び、理解できるよう編集されています。
 
数学:中学段階では《平面上の点と線》を学ぶことが中心です。すべて
   の空間が、式とグラフで表現できることを示し、教科書や参考書
   と一味ちがった表現で、苦手意識から解放されます。
理科:地球上すべての物質を視覚的に分類したのが《元素周期表》です。
   中学では全部を暗記する必要はありませんが、体系的におぼえる
   ことが大切です。生物の個体発生は系統発生をくりかえす、とい
   う原則から《進化の系統図》──原生動物からヒトの誕生までを
   図示しました。
社会:人類の誕生から二十世紀につづく社会的できごとを《歴史年表》
   にしてあります。中学では主に日本国家のあゆみを学びますが、
   世界史・東洋史との関連で理解することが重要です。
国語:代表的な古典から現代のベストセラーまて、歴史年表に併記し、
   それぞれの時代背景を示しました。
英語:なぜ英語を学ぶのか、なぜ英語が国際語たり得るか、を理解する
   ために《中学必須単語 490》を品詞別に機能と変化を示しました。
 
用途◆一月から翌年三月までの《記入式カレンダー》として勉強部屋や
   トイレット、リビングルームにピンナップして、機会あるごとに
   書きこみ、リマークすれば、基礎的な学力が向上します。
 
 《社会科年表》 ………………………………………………………(略)
 
 《中学生諸君!》によせて
 
 五教科を一枚にまとめる、という大胆な思いつきは前例がなく、当初
ほとんどの方に理解されませんでした。インタビューの際も「いったい
何ができるんですか」と問いかえされる始末で、わずかに岡大の坂田教
授だけが「できない生徒に対して、発想転換の可能性が期待される」と
興味を示されたのが唯一の救いでした。
 もっとたくさんの方、とくに中学校の先生がたにお会いしたかったの
ですが、みなさんとても忙がしいスケジュールなので、ついにあきらめ
ました。しめくくりに、新千円札の夏目漱石《吾輩は猫である》から、
──吾輩は猫として進化の極度に達して居るのみならず、能力の発達に
於ては敢て中学の三年生に劣らざる積りである──。  (松下 寛美)
 
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(20150516)
 
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