与太郎文庫
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1955年06月02日(木)  山脈・第九号/金谷書簡

 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19550602
 
Let'19550602 from Mr. Kanatani, Akira
 
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── 文学的というよりも 人としての 物の観方、考え方、その表れ
としての批評
 
 序列的配列と評
 
 第一位 お婆の死    狩野 光市
 血から湧き出た愛情というより少年より青年に向う頃の純粋な愛情で
もって書かれているこの文の作者の態度は 誰でも思い当る所がある。
肉親のお婆にさえ抱く感情と行為(此の人の場合 血のつながりはない)
 
 第二位 或る少女    鳥井 雅子
 女として 我を自覚し、自分を見つめようとしている眼を買う。
 
 第三位 おすし屋での事 天野 直子
 女を意識し始めた 感じ易い年令の感情を●えている。然し表現はま
づい。
 
 第四位 小さな反抗   中井 登志子
 少女期より青年時代への過渡期の自我拡張の頃。作者の健康的な成長
を希う。
 
 第五位 緑に誓う    田中 美佐子
 胸をふくらませている。少しも暗さがない。これでよい、これでよい。
まだ大人の世界のみにくさ、あさましさ、打算にふれない清純な、無垢
な年頃、幸あれかし、夢多かれ。
 
 第六位 友への手紙   小林 佑吉
 社会生活への萌芽、としてまづ友を。
 
 第七位 旅行      笹谷 妙子
 第一人称と第三人称混合の文が難。女の人はこんな時からもう……と
云いたくなって来た。テーマなきを憂う。
 
 第八位 心の友達    宮田 昌洪
 一人で喜んでいる。電車を待つ労働者のことが、浮き上っている。
 単なるセンチメンタリズム 然しこんな時代はある。
 
 第九位 揺蕩い     山下 進男
 こういうのが一番悪いサンプル。一人で力み返っていて嫌気が来て、
少しも読もうという気にならない。第一、死の原因が解らぬ。(原因)
此の方が大切。よくまあこれだけ色々な言葉でオール ナンセンス、
言葉と観念の遊戯なり。
 
 随筆、エッセイ
 
 第一位 諫争
 第二位 感じること
 
 以下略。
 以上、“やまなみ”についての読後感
 
 総体に 非常に 内容もよい。君の言に反していいと思う。
 夫々考えている事を書いている所がよい訳。
 もっともっと昔の学生は あまりに学生らしかった。
 此の“やまなみ”は少し大人臭いのが有る。
 そこが地についた感じが湧かないキィーです。
 たとい素朴でもよい。一生懸命書いている方が高校生らしい。そこに
眞剣さ、眞面目さ、賢実さ、牛がいる。
 その点 お婆の死 狩野君はよい。一等一席であります。
 俳句及び先生の作品については除外します。
 
 これは“やまなみ”に対する、御礼です。
                       以上
 
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 「お婆の死 狩野君はよい」
 
 十一年後(1966)の与太郎は、婚約者を伴って、祖母(杉原 きよ)
の枕辺を訪れた。NHK京都放送局《話題のロータリー》放映の日時
に合わせたものである。
 
 また、母の乳母がわり(大谷 はる)が、母の臨終を看取ったさまを
阿満 利麿プロデューサーに語っている(1967ca)。(20090506)
 
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http://d.hatena.ne.jp/adlib/19550623
 金谷書簡
 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19550623
 
Let'19550623 from Mr. Kanatani, Akira
 
 拝啓
 来る二十六日(日)午後一時 此の間のカメラの件まとめ度し、御父
上とよく御相談の上、現物拝見仕り度。カメラ持参下されば幸甚に存じ
候。
 右 用件のみにて失礼致し候。
 何卒宜敷御配慮有られ度し。
               草々
 
(20090504)
 


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