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■ (日記) 読書感想文
読書の感想文を書くのなんか、小学生以来だなぁ・・・・・・。 上手く書けないかもしれないけど、この著書を読んで今感じた事を文章に残しておきたいので、とりあえず思った事を素直に書いてみようと思う。
本の名前 「嘆きの天使」 著者 吉岡逸夫
マイミクのTakamiに「マキュ、この本マキュが読めば何かを感じるかも知れないから是非読んでみてよ」と言われ手渡された本は、若林ケンと言う名のシャンソン歌手の半生を綴ったドキュメンタリー作品だった。 聞いてみたら図書館で借りた本だと言う。 (な、な、なにゅにょぉ〜???2週間で読み終えなきゃいけないジャン・・・)
アタシのベッドの脇には読みたくて買ってきた古本が7冊読まれてないまま置き去りにされている。 読もうと思いページをめくるのだが、2〜3ページも読まぬ内に毎夜爆睡してしまい、一向に読み進まない。 購入した本を自分が読み終え、人に貸すならまだしも、期限付きかい! そう苦笑しながらも、返す期限があるため、ある意味使命感で一昨日やっとページを開いてみた。 がしかし、一昨日で一気に3分の2を読み、今日読み終えた。 ある意味、必要に迫られていたからこんなに早く読めたのかもしれない。 結果的にtakamiに感謝。 必要に迫られなければ動き出さないと言うのはとても損なことだ。と言うアタシへの教訓にもなった。(笑)
昨日までは若林ケン自身が自叙伝として書いた物だと思っていたのだが、今日、最後の最後で吉岡逸夫と言うジャーナリストが書いた物だと解った。
おおまかなあらすじは・・・・・。
若林ケンは3人の姉、一人の兄を持つ末っ子として、終戦間近の昭和20年、防空壕の中で産み落とされる。 赤線を生業にする両親。だが、父は働かず、芸事や庭弄りが好きなだけで芸者を揚げて遊び歩いているような髪結いの亭主よろしく、極楽トンボ(トンビだっけ?)の遊び人。 一方母は気丈な女性で、遊び歩いている亭主を尻目に経営を一手に引き受け、テキパキ切り盛りするやり手の女将。
娼婦の女達に囲まれ育ったケンは、一種セックスや娼婦達に嫌悪感を抱きながらも、又、そんな女達の辛さや哀れさや愛しさを理解できる感性を持つ子供でもあった。 そんな境遇に生まれたケンなんので小学校時代は虐めの的である。 ある日、アコーディオンを伴い旅回りをしながら歌を歌っているカップルに出会い、歌に憧れる。 ケンの家は裕福なのでTVがいち早く購入され、それ以来ケンは歌番組に夢中になり、自分も歌を覚えていく。
赤線廃止で家業も変わり、ケンは中学生になった。 ようやく虐めから開放されたケンは友人の影響で絵画などの美術にも興味を持つようになる。 中学卒業後、ケン自身、高校はどうでもよかったが、先生に進められ進学する。 しかし高校時代は勉強は二の次、音楽や映画ばかりに高じる落ちこぼれであった。
やがてケンは集団就職で東京に出、化粧品会社に就職する。 その時の同僚に誘われ、バンドを組み、会社にナイショでライブハウスなどに出演するようになる。 急に人気が出始め副収入もたくさん入るようになると、ケンの生活は派手になり、肉欲がらみの女遊びや酒にのめり込むようになる。 どこか一部分で醒めていながらも、そんな狂乱の青春時代に流されてゆく。 その後彼は会社を辞め、歌手としてスカウトされデビューするが、思いとは裏腹に歌は全く売れず、仕事は地方周りのキャバレーばかり。うんざりしたケンは歌手を断念し、再び東京で貧困のバイト生活に明け暮れる。 すさんだ彼の心を癒してくれるのは古美術品が置かれている骨董屋通い。
そんなある日、遠い親類夫婦に出会い、小さなアパレル会社の立ち上げに参加しないかと誘われる。 その会社は見る見る大きくなり、ケンも重役のポストを与えられ、感性やデザインのアイデアを磨く為にと定期的なフランス出張を頼まれる。 そこでケンは感性を磨くのだ。
デザインのアイデアを磨く為にと定期的なフランス出張を頼まれる。 そこでケンは感性を磨くのだった。
ある日街で女友達に偶然出会い、銀巴里で歌を歌っていることを聞く。 そして彼女を訪ね、銀巴里に訪れた彼はシャンソンと衝撃的な出会いをする。 ボクが本当に歌いたかったのはコレなのだ! その出遭いこそ運命の出遭いだったのだろう。
波に乗っていたアパレル会社を突如退職してしまったケンは、その僅かな退職金で歌舞伎町に店を持つが、さっぱり客は来ない。 当時はカラオケなどがない時代。しかし店で自分の好きなシャンソンを歌いたく、テープに収めた伴奏でシャンソンを歌いながら細々と店はスタートを切った。 しかしその店がグングン人気店となり、芸能人なども訪れるようになり、色々な人々との出会いをきっかけに60歳になって新たにシャンソン歌手としてメジャーデビューを果たした・・・・・・。
と、こういうものだった。
若林ケンと言う人は、ある意味とても運の良い人だと思う。
売春宿に生まれ付いた事も、父親が遊び人だった事も、娼婦達が遊び相手や話し相手だった事も、虐めに会って来た事も、小動物を愛してきた事も、美術品で焦燥感を癒してきた事も、女を愛し切れない事も、全て彼の今の感性に基づく結果を作り上げるに必要なアイテムだったのではないかと思う。
稀には居ないアーティストを作り上げる為には、ごくごく普通の生活を与えたんでは無理なのだと思う。 神様は誰かを選び、最初は意地悪で悪魔のようだけど、一種過酷で残酷な試練を与え、それを上手く利用しながら役立てて生きる人には最後にちゃんと何かしらのご褒美をくれると言う、粋な計らいをする事がある。 若林ケンも神様に選ばれた一人なのかもしれない・・・。 60歳でやっと本物の花が開いたと言う事は、アタシにもまだまだチャンスが来るかも知れないと、世捨て人のアタシにこの本は大きな夢と勇気を与えてくれた。
彼も、一夜の大臣、一夜の乞食のような浮き沈みの激しい人生を送ってきた人らしいが、彼自身、物欲はあまりなく、何かをがむしゃらにやって自分を切り開いて行こうなどという貪欲さも無いように思う。 何かを変えるでもなく、事の成り行きに身を任せながら自分の持つ感性や美意識や価値観には頑なまでに頑固に固執しつつも、ガツガツせず、自然体で生きて来た人なのだろう。 しかし、彼にはチャンスが向こうの方からいつも歩いてやってくるのが羨ましい・・・・・・。 彼は女性にかなりモテルらしく、貢いでくれる人も大変多かったようだ。 「何かおいしい物でも食べてね」とある日店のテーブルに新聞紙の包みが置いてあり、開けてみると1000万円の束だった。と言うエピソードが書いてあり、アタシャ何とも羨ましいこった・・・・・・と、ため息が出たよ。
彼のシャンソンはまだ一度も聞いた事がないが、是非是非聞いてみたくなった。 シャンソンを聴くというのではなく彼の人生を聴くという意味で、興味津々だ。
よし!! 彼の店に行く為に少しずつでもお金をためるぞぉ〜!! ・・・って本当かぁ〜? 貯められるんかい!!
追伸 TAKAMIへ 本貸してもらって本当に良かったよ♪ アタシも何か希望が湧いてきた。 ありがとうね。
2008年05月02日(金)
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