マキュキュのからくり日記
マキュキュ


 (日記) 昨日の日記の続きのような日記


昨日の日記を読み返していて、フと思い出した人が居る。

アタシが女鳥羽でエポックと言う店をやっていた頃、やはり突然ドアを開けて見知らぬ若い青年が二人組みで入って来た事が有った。
カウンターに座り、初っ端からボトルを取り、店の雰囲気を探りながら呑んでいた青年達。

話を聞いてみると、いつもの行きつけの店が休みとかで、前々から気にはなっていたアタシの店に今日こそ入ってみようと言う事になったらしい。
彼らは仕事はバラバラだが、店の近所にあった古いビリヤード場で、ビリヤードを楽しむ仲間だそうだ。

当事のエポックは数人の若いアルバイトを置き、常時アタシを含め3〜4人のスタッフでまかなっていた店だった。
店の奥にはピアノが置いてあり、たまに小さなジャズやシャンソンのライブなどもしていた店だった。
「あの店に入ってみようよ」と言った、言い出しっぺの青年(Y)は当事30前の青年だったのだろうか・・・。
当時、転勤して松本に着たばかりだったらしい。

アタシも当事はまだ40代の前半だったと思われる。
当事から比較的若い客層に親しまれていたアタシの店の雰囲気を一度で気に入ってくれた(Y)達は、それから週に何日もの勢いで、他のビリヤード仲間も引き連れ通い詰めてくれるようになったのだ。
皆彼のグループは気が良く、面白く、良い人間ばかりだった。
(Y)も男気があり、中々ユニークでチャーミングな青年で、仲間内からの人望も大変厚い人間であった。

彼らとはそれから一気に親しくなり、良くマージャンをしたり、店が引けてからも飲んだりして遊んだなぁ・・・・・・。

(Y)とは二人で飲む事も多く、彼の恋の悩みなども打ち明けられ、慰めたりおだてたりすかしたり、本当に姉弟的な付き合いをするようになっていた。
単なる客とも違い、友達とも違い、家族でもなく、親友でもなく、何か不思議な親近感で繋がっていたように思う。

そんな付き合いが1年か1年半ほど続いた矢先(Y)がやはり突如、栃木に転勤する事になり、グループの中心核だった(Y)を慕う仲間達は一同にショックを受け、エポックでドンチャン騒ぎの送別会を開いた。
「この店の事は永遠に忘れないよ・・・」彼の言葉がとても印象に残っている。

彼が栃木に転勤になってから、他のビリヤード仲間3人と連れ立って宇都宮まで(Y)の陣中見舞いを兼ね、餃子食べ歩きツアーに行き、アタシ達の事なので深夜まで飲みながらマージャンをし、ビリヤード仲間達は(Y)宅で雑魚寝し、アタシはホテルに泊まり、(Y)の生活ぶりを見がてら遊んで来た事がある。

そんな(Y)もやがて可愛い女性と結婚し、アタシも結婚式に呼ばれ、恥ずかしながらお祝いの歌を歌わせてもらって来た。


彼が松本を去る前、一冊の本を貸した事がある。
村上龍の「恋はいつも未知なもの 〜 You Don't Know What Love Is 〜」と言う本だ。
【どこにあるかはもう定かではないが、ふとした拍子にその扉をくぐり抜け、甘くせつないジャズを聴いていた事が有る。その幻のジャズ・バーを捜し求めあちらこちらのジャズバーを訪れるのだが、どこか似たような店では有るが、何かが違う・・・・・・。それぞれ、スタンダードの曲をタイトルにした幻想的な掌中小説】

(Y)が後日夫妻で松本を訪れた時、ビリヤード仲間達を含め、あるジャズバーで飲んだ時、(Y)が奥さんにふとこう漏らしていた。
「僕にとっての幻のジャズバーは、マキさんのエポックだったんだよなぁ・・・」と・・・・・・。
それを聞いた時はとても嬉しかったなぁ・・・・・・。

彼はからくり箱がオープンしてから、一度奥さんと子供達をつれ、訪れてくれた事がある。
今彼らは家族達と東京方面で暮らしていると思われる。

あの時は(Y)の体調が悪くゆっくり出来なかったけど、又いつかドアを開けてくれる事を心待ちにしている。
(Y)元気でやってるかなぁ? 又顔見せに来ておくれよね・・・・・・。


今回の毒舌1の転勤はこの時のケースに酷似しているように思う。
転勤先も一緒だし、親近感度も同じような感じだったもんなぁ・・・・・・。
フと思い出し今日の日記を書いてみた。


2008年03月10日(月)

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