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人物紹介


シカト
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今井さんの言葉で、私は何故自分が断ったのに強引に誘われたのか気付きました。
J子と今井さんがどういう風に知り合ったのかは分かりません。
いつだったか教室で撮った写真を、J子は今井さん達に見せたのでしょう。
それを見て、今井さんが「この子も呼んで」と私を指名したからなのだと。

まだこの時、私はJ子のお目当てが今井さんだったとは知らずにいました。

今井さんの
「あのさ、亞乃ちゃん呼んでって言ったの俺だって聞かなかった?」
という問い掛けに対し、私は
「あ、そうなんですか。知りませんでした。」
と普通に答えました。
今井さんは、

「俺以外のヤツも、亞乃ちゃん気に入っててさ」

と続けました。
私は、それがどういう意味なのか、全く分からず。一体、今井さんは何が言いたいのだろう?と思っていました。
曖昧な笑みを浮かべて
「ああ、そうですか・・・・」
と答える以外ありませんでした。

私は今井さんを始め、他の男性とも殆ど会話をしませんでした。
彼らが誰とどんな会話をしていたかさえ、聞いてもいませんでした。
困っていると、今井さんは言いました。

「でも、好きな人が居るんだって?」

私はなんで今井さんがそんな事を知っているのか分からず、でも好きな人が居るという事を知っているなら大丈夫だろうと、なんだか少し安心しました。

「います。少し、今井さん、似てますよ」

私が少し笑いながら言うと、

「俺に似てんの?じゃぁ、いい男だ」

今井さんも笑って答えてくれました。
そして、

「じゃ、気をつけてね」

とあっさりと元来た道を引き返して行きました。

その時点で、私の嫌な予感は吹き飛んでいました。
友達同士で出会った中で、自分だけ誰かに好かれるという図式が、女同士の間では良い結果にはならないことは勘で分かっていました。
だから、今井さんがあっさりと笑って引いてくれた事で、大して私に興味があったとは思えないし、その心配は解消されたと思ったのです。

翌朝。
電車でJ子に会いました。

「昨日、ちゃんと帰れた?」

そう聞かれたので、「うん。大丈夫」と答えました。

「あの後、花火やって楽しかったよ」

とJ子は言いました。
J子は、いつものJ子でした。

教室に入ると、AちゃんとIちゃんが一緒に居ました。
私はカバンを置くと、いつものように二人の所へ行き、「おはよう」と声をかけました。
二人は、椅子に座っていました。
声を掛けると、Iちゃんは、少し戸惑った笑顔で顔を上げて「おはよう」と答えてくれました。
でも、Aちゃんの方は。下を向いたまま、顔を上げず視線を外に向けました。

「なに?」

私は何がなんだか分からず、尋ねました。
二人とも下を向いたままでした。
Aちゃんにシカトされた。
それだけは、ハッキリしています。でも、理由が全く分かりません。
訳が分からず、その場に立っている事も居たたまれず、席に戻ろうと振り返ると、J子達がこっちを見ていました。
一瞬、目があうと、目を逸らされました。
その時。
原因があるとすれば。
昨日の私が何かをしたということ以外に無いということに気付きました。

チャイムが鳴り、授業が始まりました。
次の休み時間、理由を聞こうと二人の側に行きかけると、AちゃんがIちゃんの手を引っ張るようにして、教室を出て行っていました。

次の授業時間中に、「私、なにかした?」と書いたメモをAちゃんまで回してもらいました。
それを丸めて捨てるAちゃんが見えました。
私は、泣きそうになりました。

昼になり、いつもなら3人で机を並べてお弁当を食べていました。
でも、二人はJ子達の所へ行きました。
我慢しきれず、私はお手洗いへ走って行きました。
水道で手を洗うフリをしながら、泣くのを堪えていると、クラスメイトのC絵が声を掛けてきました。

「どうした?」

私は、何をどう説明していいかも分からず、

「お昼どうしようかなぁって思って」

と曖昧なことを言いました。

「一緒に食べようよ」

C絵はそう言ってくれました。
狭い教室の中です。だから、彼女も見ていたのでしょう。
それ以上何も聞かずに、快くC絵達グループの中に私を入れてくれました。

それから2日ほど、同じ状態が続きました。
その間に、二回ぐらい、やっぱり授業中にAちゃんに手紙を回してもらいました。
一度は、クスクスと笑い声が聞こえました。
一度は、「自分で考えたら?」という返事がきました。
私は、Aちゃんに聞くのを諦めました。

J子にも聞きました。彼女は
「私からは言えない」
と答えました。
J子以外の一緒に今井さん達と会った子にも聞きました。
「何かしたんじゃない?」
としか言ってくれませんでした。

3-4日目ぐらいだったと思います。
いつもAちゃんと一緒で、隙が無かったIちゃんが一人で廊下を歩いているところに出会いました。
Iちゃんは人が好い子でした。
明るい穏やかな性格で、ハッキリした性格のAちゃんとは正反対でした。
Iちゃんは多分。今回の事に関わりは無く。
Aちゃんに引きづられているだけという事は、見ていて分かりました。
私は彼女を困らせたくはありませんでした。
でも、彼女以外に聞く相手は居ません。

「Iちゃん、ごめんね。Aちゃん、何か言ってた?」

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たったそれだけ。
私は、中3の時のA美との事が蘇り、「またか」と思いました。
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「恋愛履歴」 亞乃 [MAIL]

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