ただまるで10年も前にあったことのように
すでにすぎさり終わったことのように
しずかに
今ここにあるものごとについて話せたならよかった。
あたしと、あなたと、あのあいだに
浮遊して生きたまま昇天してゆきそうな
あいまいなぬくもりのことについて。
シャワーをあびながら
真夜中に目をさましながら
矢野顕子の音をききながら
しずかともいえない泣き方で
ひとつつず葬り去ろう。
さようならのかわりに。
あしたまでをどうやって生きて行ったらわからなくて 皆目わからなくて、崩れ落ちてあるいは崩れていて 雨の降り出したそとをみながら、牛乳の泡だったカップを手につつんで ただだまって、そのはじける泡をみながら もういますぐおしまいになってもいいのにと心から思っていた 破りとってぶちまけるスティックひとつぶんのグラニュー糖 いくらあまくてもいくらあたたかくても なにひとつあかるさを思いつけなくてただ 一秒の半分ずつ、途方にくれていくばかりで
苦しかったんだよと 笑顔で きみを出迎えて
いつかしらないところで 汚れた涙
9月23日、朝
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