オブラートにくるまれきってしまったような感覚を経て その薄皮をぺりぺりとはがすことができないまんまどんどん進んでいく はやく、はやく剥がしたいのに剥がれないし壊れない そのうちあたしはあたしがいなくてもいいような気になってしまった そんなふうな気になってしまった
あのひとに見せようとして切りとる風景や それにともなう玩具みたいなシャッターの音とか 咀嚼したバジルの絡みついた生ハムの味や そんなものがすべて自分に属したり自分に触れたり していることがわからなくてでも笑い顔を作るの
笑った瞬間その自分にあきれはて蔑みたくなるの みにくい顔や声さらしてるんじゃないわよ、そんな罵声 片側からひびきわたってきて、そんなのばかり身近で
切りつけるくらいの過激さでちょうどよかったの あたしの持っているあか色はとろりとしてきれいに見える いっそ朱色の、その色で……確認できた?でもすぐに回復する 傷口の痛みも順調に進んでいくぽっかりうつろな気分も
やわらかい肌触りのものにくるまれたいとせつに思い 気がつくとそう言ったものだけ求め、それだけはたしかに味方で そばにいようとしてくれるひとにひたすらごめんなさいと言うしかなく でも、ごめんなさい それしか言えなくて、送ることばもなく返す言葉も なく
少しばかり過剰な装いをしました それが気持ちに似合うんだなと思って かがみのなかの自分に あかんべ、として可愛くないと指さして スカートの裾をけとばし立ち去るのみでした
胸元にとめたブローチに赤い実の刺繍。 敬虔じゃないあたしですみません。 くるしいなどとねぼけたこと思っていて ごめんなさい、ほんとうにもう、 なんにも。
7月5日、夜
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