| 2005年05月08日(日) |
かぎりなくうすあかるく、草の匂 |
車に乗っけてもらってれんげを見に行く 空想して計画していたよりはずっとひとまかせの
久しぶりにれんげを見たけれど (何年も前に屋久島でみた海を臨むれんげ畑の次に) もう、その色は思っていたのよりずっと濃くて ほんとうは、むらさき、というほうが正しいような気がした
痛いなあとか 苦しいなあとかいうことは 続いていくんだけれど ひとりっきりで畑の土をふかふか踏んで 摘む花を探しているとなんとなく 忘れていける気がして
たとえば20年も前くらいにもこうだった気がする 同じようにひとりで おなじように夢中で おなじようにどこまでもどこまでも 歩いていて 振り返ったら、叱られていて 叱られるときのことを知っていて
それでも、花を探している
握りしめた左の手のひらの中でくたくたと少しずつみどりの茎が しおれていって、その匂いがとてもなつかしかったこと
足を止めてもとに戻れば ぼくは5歳ではなく 痛いのと苦しいのがまた酷い
けども。
とうめいなビーカーに 青いビー玉を沈めて かちゃかちゃとガラスの破片を落とし 枕もとでれんげが揺れている くったりとしていたちっぽけな花束は 順調に水を吸い上げて もう すっきりと天井に首をのばしていることだよ
この花をながめながら眠ろうかと思う おくすりのんで おくすり塗って どきどきする心臓もこれ以上 暴れなければよく
……風が吹きわたっているとき、 ぼくはすこし元気が出るし 風が止まってしまえば もうそのまま息まで止まってしまいそうになるから
緑をながめて ふらふら揺れる 花
少しだけ、ください。
もう十年くらい摘んでいなかったみどりの茎を ぷっつりとこの手で折ってみた日 そらは、うすあかるくて もやもやとした雲に覆われながら 白くひかる太陽が影さしていた 気まぐれに散っていくたんぽぽの綿毛は 空よりも雲よりも 白くひかって飛んでいた
5月8日、夜
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