『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2004年07月16日(金) しずかなびんづめ

毎日あついです
このあついなか、となりの母校は
体育祭のイベント態勢でとてもにぎやか。
突然に空気に色がついている感じで
もうこの場所には15年も住んでいるけれど
この雰囲気はずっと前から変わらない気がする。

けっこう、好き。

なかで騒いでいる高校生の顔ぶれはぜんぜん違うはずで
いつかなんて私自身がそのなかに居たはずなんだけど。

とりのこされた朝に
ひとりでカップスープをつくってのむ。
なかみの濃い水分が
ぬるくて重たい空気のなかでも
はっきりと体のなかに落ちていく。

おいしいものを久しぶりに感じた。

高校はとても近いところにあって風景はいつもなつかしい。
手が届かないからそういえる。
学校という場所を離れて三年くらいがすぎて
私にとってはいろんなものが遠くなった
授業とか先生とか制服のきゅうくつさや
自分自身学生だったころの記憶とか
前に住んでいたうちの庭を思い出すときみたいに
ぜんぶが均等に遠くて近い
なつかしいこと。

にくらしかったこともかなしかったことも全部おいてきてしまった。
漏斗にひっかけた濾紙からぽたりぽたり
時間の経過といっしょにいろんなことを
とりのぞいているみたい
くるんとまるめた白い紙のなかにのこっているものが
すごく大切なもののような気がしてときどきせつないが。

「複雑な機械のようなむだな心は分解して捨てましょう」

あとにのこる
あいまいな
かなしみ、

の、ようなもの。

わたしにとって記憶はすべからくそのようなものでしかないから
進行形ではもてあましているこのたくさんの感情はその場所をすぎれば
ほとんどがみんな、びんづめにされた標本みたいに冷静でしずかになると知っている
(ただ、そこにあるだけという風情で息をしているきのうのものたち)
ふいうちに思い出して泣きたいような気持ちにはなるけど
そのことばよりも外に感情が踊り出ていくことはほんとうに稀なんだ。

そんな場所に慣れすぎて……そうじゃないことがたくさんあることを、忘れてしまうというひどい性癖。

誰かがふいにいなくなってしまう、とか
自分がひどくけがされてしまう、とか
だれが聞いてもたぶんショッキングな出来事よりほかに
もっとパーソナルに、説明しがたく
心の中をいためる出来事のあること、を
わたしはすっかり忘れているんじゃないだろうか。
自分があんまりぬるいところにいるから
どんどん無神経で考えなしな言動に走っているような気がする。

今日もまた触れてしまった。

ミスタッチ、

まるでそのとおり。

引き起こしたいざこざにからだがつめたくなった
ごめんなさいと思う
でももう触れるのは禁止だから
あやまるのもだめかもしれないと思って
ひたすら頭をいっぱいにしてぐるぐる回る……
成長していないなあと、気がついて苦笑した。

(あやまるっているのは、なかったことにして許してくださいってそういうことだから)

(そうして、そう簡単に「なかったこと」にはできないくらい親しい間柄ではある、たぶん)

大きな顔してともだちと呼ぶことのできるひとを
わたしは一人減らさなきゃいけないんだと思いはじめている
ここ何ヶ月かかかって少しずつそっちに押し流されてきて
おしまいかもしれないと思っている
十年もずっと一緒だったんだけどな
60年先もいっしょにいると信じていたんだけどな

……いたいよ。

できるなら誰かこの疑っている気持ちを否定してほしい。
わたしはあの子に疎んじられている邪魔なやつなんだって
もうあの子はわたしのことはいらないんだって
もやもやと黒い手がひろがって心臓を握っているみたい。
くらくらする。

びんづめをひっぱりだしてなかの毎日をひろいあげて並べていく
楽しかったことも喧嘩したこともシェアしたこともうれしかったことも
たくさんたくさん、

……わたしは誰かに頼っていくやり方が下手くそで
ついでにものの考え方も悪い意味でシビアでタイトだから
ひとを囲い込んで窒息させていくのがうまいんだろうと思った……
気がついたら依頼心のかたまりになって相手を利用しているとか
喧嘩をしたら仲直りの方法がわからなくなって自爆していくとか
そのたびにイヤになって変わらなきゃ変わりたいと思うんだけど
蝶々に変態するみたいに鮮やかにはなれないんだな、、、。

ただ、
だれかをただにくむとかきらうとかいうのは、なんか、
、、、もおやだ。

そう、思うんだけど。
思っているんだけれども。

……また自閉しちゃったな
苦笑

考えるくらいしかできなくて一人でぐるぐるしていると
最初の気持ちがどんどん遠く曖昧になって
たぶん結局じぶんが悪いんだろうっていうあたりに
いつもおちついてしまうのが、おかしい
「思いはかることが足りなかった」

人を責められる理由はすぐに見うしなわれるし
じぶんをかわいそうがる種はすぐに尽きるし
わたしの思いがただしくなんて有り得ないという思い当たりは
ほんとにごろごろしてるのが目に見える。


……ほんとうにわたしはずるくてきたない。



7月16日、朝から夜  真火

(引用:新居昭乃、「flower」)


 < キノウ  もくじ  あさって >


真火 [MAIL]

My追加