『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2004年07月04日(日) 笑うための

細い梯子をつたいおりて
しずかな場所へゆく
そこはとてもまっしろでなにもなくて
大きな球体にも似たなめらかな床が
ふうわりとぼくのことを迎えてくれるのだった

やあ、おかえり、
また会ったね

……心の奥底におりてゆくことは世界でいちばん静かな嵐かもしれない。

ひどく閉塞していて、そうしてなにもない
行くあてはないからどこにもいかない
からっぽであるから何でもできる
なんでも捨てられるしなんにもいらない
誰かのあたたかい手のひらのことも

少しずつ、忘れていく
しずかな床の下に埋めてしまう

同じようにそこにうまっている、たくさん、たくさんの
通り過ぎたいつかに埋め込んだ「ぼく」のかけらが
同じようなひかりで、同じようなかたちで
相変わらず鎮座していることを改めてまた見つける
とても遠くに歩いてきたような気がするけれど
でもここはすでにいつか訪ねてきた場所で
至る道はまったく違っていたから気がつかなかっただけなんだろうか
しっかりと埋め込んできちんと忘れていたから、それだからまた
こんなふうに同じことが苦しいんだろうか
あぶくみたいに浮き沈む雑多な物思い

ひとりになれ、ひとりになれ、ひとりになれ

  ……つきつめていくのが好きなわけじゃなくて
  でも気がついたらここにいるのはどうしてなんだろう
  人のことには手をだしたがるくせに
  自分にはまったく違うことしか言ってやれないのはなぜなんだろう

  苦しいのは誰のせいでもない(でもぼくのせいかもしれない)
  我慢して笑うのなんかナンセンスだ(でもぼくは笑うべきだ)
  逃げるのもひとつの道だと思う(でもぼくは逃げちゃだめだ)

ゆるやかにしろい部屋のなかで
持っているものといえば、ただ
積みかさねた無数のばかげたふるまいの記憶だけで
懲りない自分に愛想をつかすけど
ぼろぼろと落ちてくる感情の嵐がとまらない
繕ったはずの穏やかさも
なんだかすぐに、またこわれた

手がかりがないよ
ぬくもりもないよ
ぐるぐるとめぐって
落ち込んでいくよ
でも誰も助けにこないで
混乱するこの場所に触らないで
どさくさにまぎれてあなたに取り巻かれること
そうしてめちゃくちゃに切り刻むこと
それはきっと、とてもたやすいことだから

誰からも遠く
なんのことばもふりかかってこないところ
笑顔を修復する作業を
おわらせるまで


あなたはどんどん遠ざかる。



2004年7月4日、深夜 真火


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