わたしなんていらないんだと思った だから凍っていく外に行って横たわりたかった
わたしなんてきちがいなのだと思った 頭のなかからまたぞろ浮かび上がるものどもが つぎつぎにそこらじゅうを刺し殺していくから
わたしなんていなくなればいいと思った だれの言葉もこころにひびかなくて 世界の隅の隅のほうから落ちそうになりながら 懸命に叫んでいるだけのような気がつきまとうから
そうしてわたしのことばなんて意味もないのだと思った
荒れ狂う胸をかかえて深夜の家の中をのしあるく けものみたいにわたしはなりたい 咆哮できるものならしたかった 荒れくるう胸のうち、 煮えたぎるじぶんへのにくしみ、 やすらかに眠り続ける誰への遠慮もなく こころが叫ぶくらいに大声で喚きたかった のどから血がほとばしり出るくらいには あのくちばしの折れたかっこう鳥に負けないほどには
あたしは一匹のけものになってどこまでも自然にいきたいと思った 鳴きたいときは鳴いて大声で叫んで眠りたいように眠り 朝、のぼりくる太陽を目指して大声で叫べるような一匹のけものに
ありとあらゆる刃物を禁じたのにいつまでもなめらかにならない左腕を憎む前に そこへと自分を追い込んでゆくじぶんを許してやらなければ何にもはじまらないと 知った顔で話すようなニンゲンになんてなりたくはなくて
わたしはあなたの笑顔だけが大切だ そんな嘘はつけない わたしはわたしの安楽がいとおしい そしてそこらじゅうに散らばっていってしまった わたしの大好きなひとと、そうして大好きだった人たち そんなたくさんの人たちが 穏やかにひららかに生きてゆけることを望んでやまないくらいに わたしは欲深にできている
そう、みとめなさい わたしのあるかたちを 石膏で型取りしたようにうつくしくはなく 所々くずれて破綻してしまったこの「わたし」を もう一度立て直して歩き出させるために
たとえ今夜は号泣してもいいから
1月23日、早朝 真火
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