話せば話すほどひとりになっていく ことばをつらねるほどひとりになっていく そうしてだれも、傍らには寄り添わないことを知る そうやってぼくたちはすこしずつ 何かをなくしながら何かを手に入れていくのかな
砕けてしまったアイのかけらつみあげてきみだけのお城をつくろう とうめいな壁のむこうでゆがんだほほえみをうかべながら ひとりっきりのお城のお姫様が王子様が 世界中に満ちあふれているよ ひとつひとつとうめいな壁を叩くのに みんなのこらずただ鏡にうつる姿を眺めるのに夢中でいて たびびとのぼくのこと、目の端にもうつらなかったね
砕け散ってしまったアイのかけらつみあげてぼくだけのお城をつくりなさい そう、みんながぼくに言ったね ほかにはなんにも聞こえなかった ぱりぱりとかすかに音をたてて割れたプレパラートグラスを オブラートに包んで口のなかに入れて飲み込み続けてる 細かな傷が無数につくに決まっているけれど 頓着もせずに続けてきた 気のちがったピエロみたくぼくは痛みのことを思っている 誰かの受けているはずの痛みを 誰かの受けるはずだった痛みを
夕焼けを背景にしてきみとまためぐり合いたかったよ ガラスの向こうのお城のお姫さまと目を合わせて そのぶあつい壁を両側から叩き壊して 傷だらけのきみが傷だらけのぼくと出会ったら そのときはきっとぼくはきみを抱きとめるのに 血だらけの腕でもかまわないからぼくはきみを抱きとめるのに
砕け散ってしまったアイのかけら積み上げて きみだけのお城、つくられていく 話せばな話すほど積みあがる無言のかたまりは ぼくをひとりのなかに落としていって ぼくは果てしなくひとりを知るから パパもママも恋人も近寄れないぼくだけの孤独のことを知ってしまうから ことばをつらねるほどひとりになる破裂したコミュニケーション
そうして、そのうち 何も感じないときがぼくにもやってくるのかな 砕け散ってしまったアイのかけら 砕け散ってしまったアイのかけら
11月22日、深夜 真火
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