『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2003年08月14日(木) wherenever you are in the sadness

かなしいというきもちをすきとおったうみのなかかから
いちんちじゅう拾い上げているような、気が、していた

それは角がとれてしまったぎざぎざだったガラスのかけらで
もとは壜の形をしていたかもしれないうすみどりのうすっぺらなかたちで
砂の粒つぶを裏側のほうにぼんやりうつしながら水のそこに
沈んでいるんだ

いちんちじゅう、いちねんじゅう、
たとえばぼくが死んでもずっとずっと

あつめて手のひらのなかに重ねて積みあげてゆくと
それはいつまでたっても融けない飴玉だった
不規則なかたちをした粉砂糖をふりかけられた飴はどこまでも
ひららかでまろやかで、さっきまで浴びていたお日さまのひかりと
それからわたしの手のひらのすこしの熱さを吸い込んで
しずかに息を吐いて、それから吸った

息は、いちど吐かなきゃ吸い込めないですよ

大きく息を吸って、それから吐いて、という
ラジオ体操にくっついているナレーションを聞いて
ある幼稚園の先生(おじいちゃん)が
大笑いしてそう言ったんだそうだ

息は、いちど吐かなきゃ、吸い込めないですよ


なんだかさびしくなっちゃった

その女の子は白い服を着て浜辺に突っ立ったままぼうっと言った
だって、みんな帰っちゃうんだもん
わたし、見送ってばっかりな気がする

……そうだね見送ってばっかりはさびしい
見送るものと見送られるものとのさびしさをくらべるのは間違ってるけど
でも、わたしは、誰かのことをみおくるたびに
見送るものが抱き込んでしまわなきゃいけないさびしさのほうが
おそろしく鬼気迫っていてがらんどうに空っぽなくらいどうしようもないと
そう、思ってしまうんだ

今の今からわたしにはひとつも約束ののこされていない明日がつづいて

どうぞあなたは
しあわせに
なってください

そう願いながらからっぽのかばんを持ってからっぽの靴をはいて
スカートをひらひらさせながら元にいた場所に帰るのです
そうして傷口がふさがるのを、
まつのです

「バイバイかなしいをさがしてたあたし」

そう言えたらいいのにね

海辺の白い砂ははてしなくてそれとおなじくらい
そこに転がってひかっている融けない飴玉のガラスも
幾千も幾万もうずまっていて
わたしは

あおい空だけみてひとりではだしで立ち尽くしたい。


いつか、あなたを、あなたを、あなたを、みおくるだけのあたしじゃなくて
だれかを、誰かを待ってる、あなたを待っていることのできているあたしに




8月14日、雨夜 真火


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