『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2002年10月27日(日) 不安のなかみ

不安のなかみ。

ひとつ。

収入と支出の差。
減っていく貯金残高が余命宣告に見える
と言ったら大袈裟すぎるんだけれども
無駄遣いということをあまりしてこなかった身には、このところの
衝動買いやお金への麻痺感覚が、数字としてあらわれてきた最近
それがとみに、わたしをつぶす。

いらないわたしを
ひっぱりだして
虫干しをして
そらに掲げて

わたしが生きて暮らしているスピードのあまりの遅さ。
あんまりじかんが早くながれていくので
そうして予定ばかりが向こうから
両手を広げて迫ってくるので
わたしは途方にくれてしまう、ぐらりぐらり、と、そう
足元が崩れるみたいに。

エネルギーかエナジーかが不足しているらしいとだけは漠然とおもう。

大学の学祭に、おまけみたいに出させてもらうことになりました。
あと数日でその日がくる。
知り合いに引っ張られて画廊で展示会をすることになりました。
桜の花の咲くころ、その日が来る。
いくらか夢中だった時期を過ぎて、今はただ、こわい。
そのためにかかるたくさんの費用と、力と、
それから無関係にながれていくカウントダウンの数字と
つくりかけのはりぼてが、
からっぽの手のなかが、
それを飛び越えて消えてしまう人たちが、


わたしをつぶす。


「ぐしゃり。」


………………これで、おしまい。

あとはただ
他人にひっぱられながら
明日から春までのスケジュールを埋めていく
残骸みたいなものがいて
わたしをやっている。

春まで。
そうしてその先のないスケジュール。


「……ぐしゃり。」


こんなふうになかみを判るのならそれは正体が明らかなものだから
心理学用語では恐怖に入るのかと以前に仕入れた知識をひっぱりだして
くだらないことを考えてみたりする。

でもやっぱり

不安、は、不安、とよばれて
それ以外に名前の付けようのわからない色をしていて
つまらない日記だな、と思いながら
ここにいる。

ここに。


不安発作と手をつなぎかけて。
どくどくどくどく流れていく
変に脈動するじぶんの身体。


今日はつめたい雨もなくて
おひさまはあたたかで
自転車はすいすいと走った。
空は青かった。
ひさしぶりになにかを作りたがった自分のために
いくらかの買い物をすませて
少し熱の出た頭で、うちに帰ってきた。

さっきまでは笑えていたのに
今はおかしい、奇妙にどきどきするからだを抱えて
ここにいる。


ていねいに、お茶を入れて
ていねいに、のみほして


そうして、眠りに入りたい。


望みなんてそれっきり単純なものなのに、どうして、
こう大袈裟に仕立ててしまうのだろうか、いつも
わたしってやつは。

まったく、もう。




まなほ


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