冷たくなった紋次郎の身体を撫で、頬ずりして別れを告げた。
もんは、僅かな骨のかけらになって我が家に帰ってきた。
骨壷に頭蓋骨を納める時、あの小さな前歯が引っかかっていた。
箱に遺体を横たえる際も、強張った後ろ足の爪先がどうしても入らなかった。
享年1歳。1歳と7ヶ月。さぞかし無念であったろう。
空っぽのケージは、残酷なほどひっそり広々としている。
もん、どうしていないの。
どこへ行ったの?もん。
見ないように努めても、ふと目をやってしまう、もんの小さなお城。
真新しいゴザのそばに、断末魔のもんが押しやった牧草が堆く積もっている。
まるですぐにも主が駆け戻ってきそうな、いた時そのままの空間。
あのちっぽけな動物の、この圧倒的な存在感はどうだろう。
残された飼主の胸に空いた、大きな大きな深い穴。
時間よ戻れと念じても届かない、強い強い悲しみと後悔。
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