みちる草紙

2003年01月03日(金) 懐かしの我が家

暮れの28日に実家に戻ってから、ちょうど1週間。
今日はいよいよ東京に戻る日である。

思えば帰省した当日から毎昼毎晩のように、母のお喋りに何時間も付き合わされて
眠い目をこすりこすりウンザリすることもあったが、そこには
これも日頃の親不孝の、一片の罪滅ぼしかという思いと
アタシの長電話好きは、この母親からのダイレクトな遺伝によるものだという強い確信と
これだけ喋り倒せる間はまだまだ大丈夫かという、もう決して若くはない独身娘の
老いた母に対する、それと知られてはならない気遣いとが、ないまぜになっていた。

昨日は、家族で父の実家に近い隣町の神社へ初詣に行った。
田舎なので、明治神宮なんかと違い、参拝客はまばらで境内はが〜らがら(^◇^;)
母と妹は敬虔に、一つ一つ社を回り、二人で何やら一心に拝んでいた。
父だけは氏子のくせに、頑固に『ワシは神を信じていないから』と罰当たりにも
一人背を向け、おみくじすら引こうとしなかった。可愛くない年寄りである。
アタシは願掛け撫で牛もナデナデしたし、おみくじは大吉を引いたし、日本人なんだから
正月は精々参詣すりゃいいのさ、寝正月でなけりゃいいのさ、程度のノリであった。
夜は近所の居酒屋で、家族4人がテーブルを囲み酌み交わす。
アタシが東京に出て来てから、いや、進学と同時に実家を離れた時以来
家族揃ってのこんな場面は、一体幾度あっただろう。そしてまた、今後は幾度…
どうか皆、いつまでも元気で。自分は東京で、一人でも何とかやって行きます。

四国に戻った日、羽田では『目的地は晴天です』とアナウンスがあったにも拘らず
着陸時、飛行機が雲海に突っ込み山々が間近に迫ると、一帯が鉛色の曇天の下だった。
そしてさあ帰りましょうという時になってみれば、昨日までずっと天気が良かったのに
今日は朝から土砂降りの雨。寒い…。どうしてアタシはこうも昔から雨女(-_-;)
空港まで、両親が車で送ってくれた。早めに家を出たので1時間半で到着。
既にラッシュは始まっていると見え、大変な混雑だったので、親たちにうどんをおごり
遅くならないうちにと帰した。傘をさして雨の駐車場へと向かう二人の後ろ姿が
妙にたよりなく、これからはもっとちょくちょく帰ってこようと思った。

窓の外は暗闇。気流の影響で、機体はガクンガクンと上下に恐ろしく揺さぶられる。
『…客室乗務員も着席しております。この先揺れが続きますが、飛行には影響
 ございませんので、どうぞご安心下さい…』
とは言うものの…本当に大丈夫だろうか。思えば短かったアタシの一生(~へ~;)
隣の席では、母親の胸に抱かれた乳飲み子が、楽しいのか大きく揺れるたびに
ケラケラと無邪気な笑い声を立てている。それはつり込まれるほど嬉しそうな笑顔。
大人(アタシ)は肘掛を握りしめ、顔を引き攣らせているってのに。


 < 過去  INDEX  未来 >


[“Transient Portrait” HOME]

↑みちる草紙に1票
My追加