みちる草紙

2002年02月09日(土) メアリ・ステュアート

6日にイギリスのエリザベス2世が即位50周年を迎えたが、その僅か3日後の
9日、奇しくも実妹のマーガレット王女が71歳の生涯を閉じるとの報。
自ずとかつてのエリザベスとメアリという、因縁の2女王のことが浮かんだ。
16世紀に君臨したエリザベス1世は、メアリ・ステュアートの又従姉にあたる。

スコットランド女王メアリ・ステュアートには、さほど深い思い入れはないのだが
小学時代に山本鈴美香の劇画“7つの黄金郷”を、中学時代に桐生操著の伝記小説
“女王メアリ・ステュアート”を読んで記憶するところでは、1587年2月8日は
『天に2つの太陽は存在せず』として、彼女が44歳で斬首された日である。
前者の劇画では、主人公の双子兄妹がエリザベス1世の臣下だったためか
旧教徒のメアリはヒールとして描かれており、後者の小説は、冷徹に資料文献を追い
分析を加えながら、悲運の女王に深い理解を寄せていた。

メアリ女王に関し、作家 桐生操は実にやたらあちこちと寄稿しており、個人的に
叙情的に過ぎる氏の文体はあまり好まず食傷気味なのだけれども、メアリに限らぬ
歴史上のヒロインを大まかに知る上での入門書としては、桐生氏のエッセイ等は
非常に読みやすい、格好のテキストであろう。日本では賢明なエリザベスより
美貌と悲劇性を備えた恋多きメアリの方が人気が高いと聞くが、少なからず
桐生操の数多の労作が寄与貢献しているのかも知れない。

  
       エリザベス1世                  メアリ・ステュアート

こうして見ても、才知では遥かに勝るエリザベスの、容貌の劣性は気の毒なほどだ。
淫蕩であった父王ヘンリーが梅毒を患っており、不幸にしてその影響とも言われる。
それでもエリザベスはメアリを処刑するまで彼女に競争心を抱き続け、何かあると
側近をつかまえては『アタシとメアリどっちがキレイよ?』と尋ね、臣下たちは毎回
事実と反対のことを無理やり言わされていたとか。
一方のメアリは、死後亡霊となってさ迷い出た姿を何度も目撃されているそうだが
その都度「とても美しい幽霊を見た」と、化けて出てなお賛美されているという。

やっぱり女は顔か〜(-_-;) ←尻すぼみなまとめ方


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