みちる草紙

2001年11月11日(日) 歌の風景 その2

♪鳶色の雲はつづれ織りに 君を不思議な小径へと誘う
 ああ 時を越えて Kathmandu さすらう人の Kathmandu

 風光る大地 水密の香り ヒマラヤが君の瞳に揺れる
 For here was a source and here was start
 And how it grew how it grew from Kathmandu...♪ << カトマンドゥー >>

こんな美しい詞曲を聴いて浮かんでくるのが、フェリーの2等船室だったり
鉛色にしばれる神戸港の夜明けだったり、ビジネスホテルの窓から見下ろす
真冬の大阪の街角だったりと、何とも陰鬱なイマジネーションなのである。
それだけに歌というものは、本人が記憶している以上の様々なシチュエーション
もろとも五感にこびりついて、生涯消えずに想い出と共存して生きるのだろう。
因みに、スターウォーズのテーマを聴いて先ずイメージしてしまうのは
中学の教室の清掃風景である(何故って掃除の時間に流れていたから…(-_-;))。

件の係長は、杏里の歌に想い出をダブらせていたが、アタシの場合はやっぱり
その手のものと言えば浜省かしら。×年前、一人のバイク野郎と知り合うも
その男が尾崎とか長渕とか浜省を好きでよく聴いており、車の中ではいつも
大音量で聴かされた。移り変わる景色は、ベイブリッジや湘南の海岸やetcetc..
いつしかその男を好きでなくなり、苦悶の歳月が記憶の彼方に葬り去られても
当時繰返し聴いた歌が流れると、忘れた筈の甘酸っぱい締め付けが胸に甦る。

♪愛を誓った白いチャペルの鐘の音 今でも聞こえるのに
 僕のために作った食事は冷めてゆき 君は無口になり
 君のために作った愛の歌の歌詞さえ 今では僕にも思い出せない
 Good bye darling Good bye my love いつわりの日々
 背中向けたまま眠る夜… ♪ << いつわりの日々 >>

クリスマスは来月。銀座の通りに、気の早いツリーが聳え立ったというのを
昨日のニュースで知った。こじゃれたホテルのスイートルームは、もう予約で
埋まり始める頃だろう。ジングルベルのメロディを耳にすると、昔は、光輪を戴く
マリアやキリストを描いた宗教画が浮かび、自ずと荘厳な気分になったものだが
下世話な世情に毒された今となっては、身に沁む寒さや年の瀬の慌しさに
背を嬲られ、何か独り取り残されたような寂寥感に包まれるのが常となった。

♪兄は夜更け過ぎに“雪絵”に変わるだろう…♪ << by 空耳アワーズ >>


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