2006年03月09日(木) |
弁斗とジェッ太 〜大阪ブレインドレイン |
弁斗とジェッ太 大阪ブレインドレイン
・元売れっ子漫画家、今編集者のミウラ…浅越ゴエ
・トーン張りや仕上げのセンスがある 元暴走族のディーノ…鈴木つかさ ・いつも寝不足で、目の下にくまがあるが、 背景を描く力は抜群の“パンダ”…お〜い!久馬 ・小学校時代からの親友 弁斗(ストーリー担当)…なだぎ武 ジェッ太(作画担当)…ヤナギブソン (ディーノの表現をかりれば、“ニコイチ”の関係)
・ミウラの知人の娘で世話係のテラノ…竹中絵里
2004年12月の ザ・プラン9としては15作目となる単独公演だそうです。
机が壁に張りつけて並べられ、 簡単なリビングセットが置かれたワンルーム。 ここは、世界的なアマチュア向けマンガコンテスト AMP(アマチュア・マンガ・パンクラチオン)に 過去3回の優勝者を出している漫画家集団の仕事場です。 毎年AMPのシーズンになると、 チームのメンバーが集まってきます。
チームの4連破を狙う4人は、 「もぐりの編集者」を自称するミウラに 自信作の原稿を見せますが、 評価はそれぞれに芳しくありません。 ちなみに、漫画家が1人ずつ個別に原稿を見せている間、 ほかのメンバーは、そのマンガの内容を 舞台の半分のスペースを使って寸劇で表現していました。
が、ミウラには、4人のうち1人だけ、 本物の天才だと目をつけていた人物がいました。 しかし、それを明るみに出してしまうことは、 このいい感じのチームの関係に、 影を落とすことにもつながります。
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“ブレインドレイン”(頭脳流出)というサブタイが、 この演目に特別に関係があるかどうか、 それは、舞台のイントロダクションの部分で触れられるとおり、 大した問題ではありません。 途中でこの言葉が、ちょっとだけ怖い方向で、 ダブルミーニングとして使われる展開もありますが、 全体で見れば、ほどよいスパイスという程度で、 あくまで温かな、心優しい物語でした。
その方面がお好きな方は、 早い段階で気づかれたのでは、と思います。 役名(愛称)が、みんな車絡みの名前なんですね。 私は車好きの相方に 「ベントもジェッタも車の名前だね」と言われ、 実はその二つは全く知らなかったのですが、 “パンダ”“ミウラ”“テラノ”“ディーノ”の方で、 ああ、それ言ったら全員そうだよと初めて気づきました。
それだけに…
「どうしてアマチュア・マンガ・グランプリ」じゃなかったの!と 個人的には惜しく思います。 それだったらAMGになっていたのに。
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マンガにまつわる愛すべき群像劇といえば、 小林賢太郎プロデュースの3作目 「PAPER RUNNER」もあり、 あの作品も大好きなので、 どうしても比較してしまった部分がありました。 が、もちろん意味のないことです。 「チーズケーキもモンブランもおいしそう。 ええい、両方食べる……はぁ〜、満足」 という程度のものです。
「ペパラン」で最も好きなのは、 「俺が漫画家だったら、お前たち全員主役にしてやるよ」 という台詞でした。 (言った人物やシチュエーションを知りたい方は、ぜひごらんになってください) 今回は、編集者ミウラがマンガなるものを端的に表現した言葉 「紙とペンの持つ無限の可能性」 というものが最も印象に残りました。 どちらも、その舞台を作った人びとの信条のようなものが 反映されている気がしたのです。
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プラン9らしく、 スケッチブックを使った大喜利もあります。 最初からあった台詞なのか、アドリブなのか、 ディーノこと鈴木さんの、 舞台の内容を踏まえた的確なツッコミが利いていました。
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