2005年08月03日(水) |
テレビ観賞「地球ドラマチック なりきりドキュメント1」 |
NHK教育テレビで毎週水曜日午後7時から放映中の 「地球ドラマチック」では、 世界の選りすぐりのドキュメンタリー番組を放映しています。
なりきりドキュメント その1 『第1回 ハンバーガー屋さんがトップシェフに』
「イギリスの田舎町でハンバーガーを売る気の好い青年 エド・デブリン(推定年齢25〜30)が、 ちょっとピーター・ギャラガー似。背は低そう。 4週間、トップシェフの手ほどきを受けて料理コンテストに出場し、 審査員に似非シェフであることを見破られない」 ことを目標とする、“なりきりチャレンジ”です。
ところで、イギリスといえば、 映画やドラマや小説の中のシーンでもおなじみの 「フィッシュ&チップス」ですが、 エドが切り盛りしている店は、 「チキン&チップス」という看板のついたスタンドでした。 ということは、チキンバーガーなのか、 「ドチキン」も売っているということなのか。 ま、どっちでもいいんですけど。
エドは最初は、 「食へのこだわりは特にない」 と言い、チリビーンズ?とチーズのトーストをうまそうに食べ、 「人に偉そうに命令するくらいなら、小さくなっている方がマシ」 と発言して憚らない、愛すべき気弱な腰抜け君でした。 私は、こういうタイプの人に 「男として、それでいいと思ってるのか!」と 余計なお節介を言うタイプの人の方が どっちかというと嫌いなので、 エドに料理やシェフとしての心構えを教示する人たちが、 あのヘラヘラ君の人格をずたずたにしちゃうんじゃないかと、 ひやひやしながら見ておりました。
1人目のシェフ・デビッドは、 自分の家にエドを居候させてやったり、 勉強のためにいい店で食事させたり、 冷淡そうなルックスとは裏腹に、 結構わかりやすいいい人。 (仕事上ではかなり厳しかったけれど) 2人目のシェフ(名前は忘れたけど短気で有名)のところに行って 1日目、余りのシビアさに4時間で凹んだエドが、 デビッドに愚痴をこぼしに帰る1コマすらありました。
それでも、ハンバーガー焼きで培った?手際もよかったのか、 もともとそれなりの資質があったようで、 料理(殊にデザート)も褒められるようになるのですが、 コンテストのシミュレーション時に魚を焦がしたり、 アシスタントからも責められたり、 かなり追い詰められているなあとわかるシーンも 幾つも見られました。 いつも言われるのは、 「愛想がよすぎる」「もっと傲慢に振る舞え」 ……そういうもんなんでしょうね、上に立つ人間って。 そのあたりのバックアップとして、演技指導もつけられます。
果たして、コンテスト当日。 参加4チームのうち、エドを除く3チームは、 シェフ歴3年から5年の料理人をトップに据え、 審査員の質問に答える態度にも余裕があります。 エドはというと、 別室のモニターで様子を窺っていた 2人の「チューター」シェフと演技指導の女性が、 「すごい」「奴は怪物だ」と思わず言うほどの変身ぶりで、 アシスタントへの指示もてきぱきと、 ひょっとしたらひよっとするかも…という仕事ぶりを見せます。 料理の出来も(一部を除いて)概ね好調。 さて、結果は?
……このシリーズは、再放送の可能性もありますが、 いつになるかわかんないし、 あえてネタバレさせていただきますれば、 見事、優勝を勝ち取りました。 結果発表時、モニター観戦の3人が、 4位、3位…と、エド・チーム以外の名前が呼ばれるたびに、 歓声を上げたり、抱き合ったりして喜ぶさまが なんかよかったです。 「お、ビリ回避」 「3位…でもない。ということは最悪でも2位か。 ひょっとするとひょっとするぞ〜」という感じで、 徐々にテンションが上がっていくのが、 見ているだけで読み取れましたもの。 審査員に後から、 「4週間訓練を受けただけの似非シェフが1人だけいたが、誰だと思うか」と聞いても、 エドの名前を挙げる人はいませんでした。
例えばこれをドキュメントではなくて 映画やドラマとして見ても、 キャラクターたちはみんな魅力的だし、 お話の展開もうまい(いいぐあいだ)し、 実に実にさわやかな印象で、 楽しく見られた45分だったのですが、 一つだけ気がかりがあります。 クライマックスの料理コンテスト、 エド・チームが作った1品目の魚料理、 「油っこい」とか言われて結構批判もあったし、 ほかは一応、それなりの一流店のシェフばかりのはずなのに、 それでもエドが優勝できるということは… 実は、コンテストのレベル自体が 物すごく低かったということでしょうか。
でもまあ、今までよりちょっと成長して、 意気揚々と田舎町に帰っていくエドの姿が、 そういう不審点も「ま、いいか」」に変えてくれました。
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