hyuニッキ

2006年12月26日(火) クリスマス話3後編

寒さが和らぎ、温かなものに包まれている気がして、はっとなった。

目を開くと、片側だけが開いた鎧戸の、窓の向こうに白い光。
一瞬、自分がどこにいるのか分からなくて、記憶をめぐらせる。
ここはどこだろう?
暖炉の前に座っていた。それから、扉を叩く音がして・・・
不安に押しつぶされそうな胸のうちがまた、酷く騒いで。
夢と現実の境界はあまりに曖昧で。

何がどうなったのか、わからない。
ただ、彼がいない。
抗い難い喪失感に、思わず涙がこぼれた。
「ふ・・・う・・ぇ・・・」
堪えても、嗚咽が漏れるのを止められない。
寂しい。怖い。不安で、心細くて、苦しい。
こんなにも、逢いたいのに。
「――どうした? 怖い夢でも見たのか?」
唐突に、声をかけられ本当に吃驚した。
右を下にして横臥した自分を、後ろから優しく抱きしめる腕がある。
そして、聞き紛うことなどあるはずのない、声。
反射的に身を起こして振り返ったそこに彼はいた。
気遣うように様子を伺い、だがすぐに、悪戯っぽい笑みを浮かべて
「ただいま」と。
「おかえり・・・なさい・・・」
咄嗟に答えて、戸惑いながら手を伸ばした。
確かめるように、前髪に、頬に触れて。
その指先を、強く、優しく包む手。
言葉は声にならなかった。

自分は一体どんな情けない顔をしてしまったのだろう。
少し、傷ついたような笑み、
優しく抱きしめる腕。
すぐそばで感じる鼓動と息遣いは、紛れもない現実で。

彼は小さくゴメン、と囁いて
微笑んで、キスをして。

約束の日は、1日過ぎている。
だが、そんなことは、もうどうでもいい。
無事に帰ってきてくれた。
それだけで、辛かった全てが、既に大したことではなかったように思えて。

そばにいるよ――

幼い頃に交わした約束。
それが、永久のものではないということくらい、分かっている。
ただ無邪気に、そんな約束を振りかざせるほど
もう幼くはない。
けれど、それでも、どうか――

何度でも、願う。

これからも、ずっと――


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