カエルと、ナマコと、水銀と
n.446



 「鍵かっこの中」のお話

=冬の朝方、ミルクの音=

雨の日は、窓の外を眺めてる。ソファーにもたれ、スウェットのズボンとトレーナーに包まれて、気怠く、気怠く、庭の木に飛んできたメジロなんかを眺めている。次第に、誰もいないリビングは熱を奪われていき、ボクは身震いをする。フローリングの床に落ちていたタオルケットを拾い上げて、身体にかける。ようやく立ち上がる。飼い猫が、足下にすり寄ってくる。彼のお皿にミルクと、キャットフードをついでやり、ボクはミルクを温める。電子レンジの中でミルクが回っている間、やめたはずのタバコに火をつける。キャメル特有の、乾いた荒野の匂い。電子音が鳴って、電子レンジが止まる。火をつけたばかりのタバコを消して、ミルクを一口飲んだ。ソファー座ると、膝に猫が飛び乗った。ミルクを一口すする。
雨の音が聞こえている。

2004年12月04日(土)
初日 最新 目次 MAIL


My追加