カエルと、ナマコと、水銀と
n.446



 昼下がりの

=昼下がりの=

すっぽり何かが覆い被さるように、ふとした瞬間一人になる。周りの景色が解け合っていって、友達もタンスも、教室の隅のイスも、空も一緒になる。それはよく、晴れた春や、涼しい夏や、ぽかぽかの冬、名残惜しい秋の午後に起こる。時間帯は一時とか二時とか三時とかそういうところなんだろうけど、ああ、起こりそうだなという気配は確かにある。ふわり。羽毛の中に埋もれて夢を見ている感覚だ。何もなくなってしまう。空想も、からっぽも。すーっと、感覚がフィルター越しになる。
そこで、コップの氷が音を鳴らした。


2004年05月28日(金)
初日 最新 目次 MAIL


My追加