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■ 口笛カラス
=口笛カラス=
お気に入りの歌を口ずさみながらその子は塀の上を歩いている。自分がどれだけ勇敢かってことを分からせようと、高い塀の上をふらりふらりと歩いていく。ゆみちゃんのママが「あぶないからおりておいで」降りるもんか。ここはすごく眺めがいいんだ。屋根の上に灰色猫が、昼寝してた。夕焼けこやけだって言うのに、今頃やっと起きて目をぱちくり。赤色の火が、影をつくっていく。吹けない口笛を吹こうと。自転車に乗ったおばちゃんが鈴を鳴らしておじいさんを追い抜いた。ちりちりん。目を覚ましそうなコウモリ。山の向こう側の世界は、まだ昼間なの?ひゅーひゅひゅーふーひゅー。カラスの口笛唄。
=弱イ者たち=
キリギリスは目を細めながら、「死んでしまうのか。どうなんだ。ああ、死んでしまう」とつぶやいていた。アリたちはやっとこさ冬の準備をおえて、最後のパンの一欠片を巣の中に運び込むところだった。キリギリスは重い腰を上げて、「こうするしかない。駄目だ。ああ」と独り言を言いながら、アリの巣の戸を叩いた。コンニチハ、キリギリスサン。ドウカシマシタァ?−ヒモジクテ、サムクテ、シニソウナノデス。ドウカ助けていただけないでしょうか?ニヤリ、と、アリは口の端で笑う。黒い笑いを顔の皮膚の下に隠してる。「どうぞ、どうぞ。中に入りなさい」「ありがとうありがとう」 最後にアリたちは大きな食料を手に入れましたとさ。
=黄色のボール=
丸を飲み込んだ。丸に飲み込まれた。丸を飲み込んだ。丸に飲み込まれた。ぐる。丸に飲み込んだ。丸が飲み込んだ。丸いお日様。黄色のピンボール。喉の奥の穴。飲み込んだ。
2004年05月26日(水)
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