|
|
■■■
■■
■ ワラッパ
=ワラッパ=
ハロー。月が笑って飛んでった。ゆっくり小山へ登る小道をゆく。てくてくてく、緩やかに流れる川のように曲がった道を登っていく。草の茂みから遅刻しそうなキリギリスの歌が聞こえてきた。今何時だい?そうさ、今は深夜二時。ラララー。フクロウが首を伸ばしたから、メガネザルは右目を細めてそれを見た。星たちはわがままに散らばっている。ハッハッハ、グッドナイト。月は笑ってそういった。街はすでに夢の中。木だって、花だって、眠りについてる。ヤーハッハ。月は笑ってる。
=懐かしの赤火=
炎がゆっくり近づけられて、油の沁みたこよりに火がつけられた。こよりは水淵のお地蔵さんのほこらから針金に支えられつつ、渡川の上を越えて、岩城の小山の中程に位置する平宿寺まで続いている。昼間カラリと晴れた空には星が星に見えないほど散らばっていて、乾燥した空気のなか火はゆっくりと確実に渡川を越えようよしていた。村人たちは家計を考えるのを休み、子供たちは火を追っかけ追い越し、戻ってきては声を上げていた。若い男女は手を握り人々の影で神聖な口づけを交わし、雌猫は空を見つめていた。 愛し合うのに夢中になった男女が、人々の感嘆の声に顔を上げると、平宿寺のかがり火にこよりの炎が燃え移ったようだった。揺れる赤は空を照らす。 目をつぶったら、そんな風土があるかもしれない。
2004年05月24日(月)
|
|
|