カエルと、ナマコと、水銀と
n.446



 濁り水

=濁り水=

堤防から飛んだ。夏だな、と思った。
「右にクラゲいる」とか、なんとか。驚いてしまって体をひねって。なんか、青春。「今度は左」「いや、右にも」「そしておまえの回りほとんどクラゲ」……マジですか?「って言うのは嘘。ははは。でも近くにクラゲはいるぞ」少し濁ってて、何も見えないような海は恐い。いつサメに襲われるか、いつ水死した亡霊に足を引っ張られるか分かったもんじゃない。でも、そんな海が好きだ。色々混ざってて、そんな中に自分も入りたいと思う。いや、水死したいとかそういうのじゃなくてよ。

=ずれていく=

隣で俺があげたマルボロをまずそうに一本吸いきってげろ吐きそうになってるのをみて、花火がなんでずれていくのか分かった気がした。音が後からやって来て、おもしろいんだけど、笑えなくて。ずれた時間は取り戻すことは難しいだろうけど、やっぱ戻ってみようと思った。そんでもって、学校の屋上から青春の音を聞いて、煙をおいしそうに吐き出すんだ。

2003年06月13日(金)
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