カエルと、ナマコと、水銀と
n.446



 でこぼこした月の道

=でこぼこした月の道=

アマガエルを踏みつけてしまいそうになったので、一応謝った。
「ついておいで」と、真夜中に誘われて、僕は裸足のまま外に出た。
少しぬめりけを持ったアマガエルの皮膚が、でこぼこした月を映し出している。
アマガエルが、少し遠くまで言って、こっちを振り向いて何かを言った。
何か、すごく大事な何かを。でも僕は、聞き取れなかった。

=眠り=

ワニがカエルにこういった。「僕は爬虫類。君は両生類。分かるかい?」「わかるとも。でも、それがどうしたと言うんだい?」やれやれ、と言う風にワニが、かぶりを振って答える。「だから、両生類の君よりも、爬虫類の僕の方が進化しているんだって」カエルが、一瞬悲しそうな顔をして、呟いた。「かわらないよ。きっと」
冬が来て、辺りは眠る。両生類も、爬虫類も、みんな全て。

2002年04月15日(月)
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