明日のために

某出版社さまが自己破産されたというニュースを聞き、とても驚きました。
4月というのは、入園、入学、入社…など、ここから先には夢や希望が盛りだくさん…な気がする「始まり」の月なのに、始まって5日目にして何とも寂しいニュースです。もしかすると、4月1日付けで入社したばかりの社員さんだっていらっしゃるかもしれないのに…と思うと、お気の毒でなりません。
かく言う私も、数年前にお仕事させていただいていた出版社さまが同じような状況となり、生まれて初めての体験にパニクったことがありました。泣きそうになりながらマニュアル片手に必要な書類を作成したり、苦手な交渉をしたり、あたふたしまくったことを今でもリアルに思い出します(汗)。

こうした会社の行方に限らず、友人知人との繋がり、あるいは個人の健康に関しても、「明日どうなっているか」は、全く予想がつかないものですね。
人は何の根拠もなく、昨日から今日、今日から明日へ、同じように日が過ぎてゆくものだと思っているけれど、そんなふうに信じたまま一生を終えられる方は、ごくごく稀なのではないでしょうか。
長年おつき合いしていて絶対的な信頼を置いている相手であっても、些細なことから関係に亀裂が入ってしまう場合があります。最近どうも調子が悪くて…と気になって病院へ行くと、実はかなりヤバイ症状であることがわかり、そのまま入院させられてしまう場合や、もっとひどければ絶望的な告知を受ける場合もあります。

大切な人と永遠の別れをするというのは他に比べようのないとんでもなくつらい体験ですが、そこから学んだこともまたとんでもなくたくさんあります。私のその最も大きなものが、今この瞬間を「楽しい」と思って生きよう…ということでした。
最近読んだエッセイに、こんな話が載っていました。世の中のお父さんお母さんは「我が子のために」と思ってマイホームを建て、そのローン返済のために毎日せっせと働くけれど、晴れて自分の家となった頃には子供は既にその家を巣立った後で、家には老いた夫婦がふたりきり…。そのときになって初めて、子供が親との接触を最も望む時期に「仕事」「仕事」と会社最優先にして家庭を顧みずにきてしまったこと、子供が日々成長してゆく様子を全く見てこなかったことを後悔するのだけれど、とき既に遅し…なのだと。なるほどなぁ…と、目からウロコでした。最近よく見かける某テーマパークのTVCMでも、子供たちが父親に「お父さんとは、今しか遊んであげないよ」みたいなことを言っているので、世のお父さんたちは薄々気づき始めているのかもしれません。
世の中にはいろんな考え方をする人がいるので、目標達成のためにはその過程がどんなに過酷でもかまわない、と強い精神力でがんばり抜くことができる人もいるでしょう。だけど私は、「つらいなぁ〜」「こんなはずじゃないになぁ〜」と毎日グチったりフキゲンな顔を周囲に見せるよりも、いつか目標を達成したときに得られるであろう幸せの何百、何千分の一程度でかまわないので、ささやかな幸せを日々感じながら生きることを選びたいです。そうでないと、不幸にして道半ばで人生を降りなければならなくなったとき、私に残るのはつらかった思い出と、達成できなかった後悔だけになりそうなので。
2006年04月07日(金)

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